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イスラームとの共存のために 「味の素ハラール問題」の事例から学ぶ
2001年5月10日
多民族共生人権セミナー
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パネラー
■内藤正典さん
1956年東京生まれ。現在、一橋大学大学院社会学研究科教授。イスラムと西洋の相関地域研究、多文化共生論を専攻。著書に「トルコのものさし日本のものさし」など。
■スゲン・サントソさん
インドネシア国籍。1993年、留学生として来日。現在、京都大学大学院に私費招聘外国人学者として在籍。妻と2人の子どもと京都市に在住。
■岡崎慎一郎さん
1935年高知県生まれ。元安田生命保険相互会社の人権教育専任。多民族共生人権教育センター理事。
コーディネーター
■李敬宰さん
1954年大阪府生まれ。韓国籍の在日2世。現在、多民族共生人権教育センター理事長。
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李敬宰:内藤氏の講演をお聞きして、イスラム教についての認識を改めさせられました。
サントソ:私は8年前来日しました。豚肉を食べない、お酒も飲まないという習慣は、周囲の人からは理解を得ています。一日5回のお祈りも大学でしている。個人的には差別の経験はないが不満はある。日本の一般の方はイスラム教についてもう少し勉強してほしいです。昨年の味の素事件ですが、ハラールというのは我々イスラム教徒にとっては絶対的なもの。我々はハラールの商品は安心して食べるので、会社側にも利益になる。あの事件までは、味の素は豚のエキスを使わなかったのですが、豚からとったものに変えたと聞いて怒りの声が爆発しました。このような事件を繰り返さないことを願います。
岡崎:いま企業は社会貢献が問われてるようになっている。しかし実際、大企業は「共生」に必ずしも問題意識が高くない。下請け、孫請けに外国人労働者が流れている。受け入れている少数の企業を知っているが、イスラム教徒が勤務時間中にも礼拝をするという文化を尊重しないといけないが、現場にはとまどいがある。
内藤:ドイツの自動車会社の工場の現場で働いているのはトルコ人達。食堂にはイスラム教徒用のメニューがあります。モスクまで創った企業もある。それ以外でも学ぶべきことがあります。1992年にドイツでトルコ人が焼き殺されるという事件があった時に、「犯人につながる情報を提供した者には報奨金を与える」と広告を出したのは自動車企業でした。企業がみずから差別と闘うんだとアピールするということは、よく行われていることです。
李敬宰:ドイツでは差別と闘う姿勢を明確にする企業もあるようだが、日本ではそこまでできるのでしょうか。
岡崎:これからの時代、従来の日本型企業倫理では通用しなくなっています。数社が社会貢献ファンドをつくったりしていますが、一般市民がどう企業を見ていくかということも重要になるでしょう。これからは企業倫理として問題と取り組む姿勢が、もっと出てくるでしょう。
李敬宰:サントソさん、日本企業は人権や差別について積極的、という印象がありますか。
サントソ:私は日本企業の状況は知りません。インドネシアからの研修生が増えています。私は彼らが研修というよりも働くと聞きました。
内藤:どんなスケールの企業でも国際社会のなかで生きていくためには、公正であるかどうかが問われます。将来的に、「共生」への取り組みが企業にとっても財産となっていく時代です。「13億」の市場を考えたなら、おのずと別の発想が出てくるはず。
サントソ:共に生きるためには、それぞれの言葉、習慣の違いを理解しあってこそ。そのためには知識が必要。わたしも日本のことを勉強しているんですが、みなさんも国際社会の、さまざまな国のことを勉強してほしい。
李敬宰:今後、外国人を受け入れていく時に企業として必要なことは?
岡崎:ほんとに労働力不足に直面すると、企業は労働力のことを考えるだろう。だけど現実はまだまだ。優良企業の「雇用の国際化」という報告書があるが、自主的に報告しているのは、約180社のうち、27社しかなかった。
内藤:「ルール化しないとだめだ」というのが私の意見です。「差別禁止法」のようなものを制定しないと無理だろうと思っています。人が大事にしているものを踏みにじったりしたら、怒りをかうのは当たり前。みなさんだってそうですよね。イスラムは決して特殊な宗教じゃない。日常生活の中にルールがあるイスラム。それを踏みにじってはならないのです。
李敬宰:本日は、それぞれのお立場から、貴重な問題提起をありがとうございました。
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