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2001年多民族共生人権研究集会
各分科会報告
【第1分科会】「多文化・多民族共生社会」とは〜多民族国家・日本の構想〜
「多民族国家・日本の構想」のテーマで柏崎千佳子さんからは「主流」とは異質なものとして「民族的・文化的多様性」が存在する現在、「日本人」を再考し、国籍に関わらず、多様な出自・文化的背景を持つ人々によって構成される社会をつくっていかなければならないといった問題提起がされました。
また「教育の現場では」のテーマで伏見泰寛さんからは多文化共生の学校をめざして、民族学級・民族クラブ・子ども会などの実践を生かして学校全体の取り組みにすることや、異文化理解に終わらず自らの文化を問い直す取り組みをしていくこと、「隠れたカリキュラム」を始め学校環境を重視すること、自らの文化や民族性を肯定的にとらえられる教材・カリキュラムを豊富化させることの重要性についてお話されました。続いてオルティス高良里津子さんより「高槻市在日外国人市民ネットワーク」の活動をしている中で自分の子どもが学校で「自分はみんなと違う」というコンプレックスから、「自分には仲間がいる、自分はこれでいいんだな」と思える学校の場にできた成果などについてお話がありました。
また「福祉の現場では」のテーマで周貞子さんからは、日本人とコリアン高齢者の共生の難しさや、福祉の現場での福祉従事者の無知・無理解など、実例を挙げながら報告がありました。そして最後に「相談の現場では」のテーマで川島修司さんより大阪府外国人相談コーナー主任相談員を通じて感じた、外国人が抱える制度・言葉・生活習慣などのカベを幅広い交流によってどう克服していくかなどについて語られました。
【第2分科会】「在日外国人問題」〜入門編1〜
一つ目のテーマ、日本の中の人種差別事件〜新たな「差別・排外」国際社会化への矛盾〜では、現在の日本政府の外国人に対する政策の基本認識をおさえていきながら、近年台頭している、日本の「差別・排外主義」の特徴、それが土台となって現実に起こった事象などを紹介しながら、制度的な問題、日本社会の意識的な問題を乗り越えていくことが重要である、と丹羽雅雄さんよりお話されました。
二つ目のテーマ、「メディアによる在日外国人への人権侵害」では、外国人犯罪の事例や、最近特に多い外国人への偏見を助長している報道のあり方などに危機感を感じ、これからの社会の中でメディアが果たす役割について、中川健一さんよりお話されました。
三つ目のテーマ、多民族共生に向けた「人権救済制度」の現状と方向性では、人権救済機関の実情と内容、その問題点、また、本当に人権救済を必要とする人たちに対して、人権救済を行うためには何が大切なのか、ということを部落解放運動で培われた視点や経験などから、北口末広さんがお話されていました。
これら3つのテーマを通じて、現在、日本社会における在日外国人問題の根幹にある、言葉や法制度の問題、在日外国人に対する意識の問題などを知ることができました。と同時に、多文化共生社会を実現する上で障壁となっている、これらの問題点の転換が求められていることも明らかになりました。
この分科会では今、日本社会に居住している外国人の状況を様々な角度から捉えて、その問題点や課題点を明らかにしています。各講師の方々から提起されていることに対して、私たちが、どのように取り組んでいくことができるのか、また、取り組めばいいのかを示唆する内容となりました。
【第3分科会】「在日外国人問題」〜入門編2〜
水野直樹さんの講演では、2002年度から使用される中学校社会科(歴史・公民・地理)で在日外国人の問題がどれほど取り上げられているのかが検討されました。年を前後し、在日外国人の問題がかなり突っ込んだ形で、教科書で取り上げられるようになってきており、生徒が在日外国人の問題を考える材料が教科書で提供されています。また一方で問題点として、記述の量が十分でなかったり、記述が間違っていたり、妥当な表現ではなかったりなどの問題も見られます。在日外国人との共生が求められる社会の中で、今後学校教育のみならず家庭での教育も重要になるだろうということが強調されました。
山崎公士さんの講演では、日本の新しい国内人権委員会の進捗状況とその問題点が明らかにされました。国内人権委員会を新設する日本の人権救済法(仮称)においては、差別・人権侵害行為の規定がないという問題が指摘されました。また、諸外国の例と比較して、差別禁止事由と差別禁止分野が定められていないという問題点、障害者やジェンダーなど各分野での運動を軸にして分野別の差別禁止法を制定していくことの重要性も指摘されました。
窪誠さんの講演では、幸せの形として「結ぶ幸せ」及び「内なる幸せ」と「切る幸せ」及び「外なる幸せ」といった幸せについて提起されました。アメリカのアフガン攻撃は、典型的な「切る幸せ」「外なる幸せ」に基づくものであり、それを認めることが出来ないことなどです。その上で、多民族・多文化共生社会は「切る幸せ」「外なる幸せ」に」よっては真に作られず、「結ぶ幸せ」「内なる幸せ」によって作られるものであり、個人の生き方を尊重・理解することからはじめる「小さな多民族多文化共生社会」の構築がより大きな多民族多文化共生社会につながっていくことなどが強調されました。
【第4分科会】在日韓国・朝鮮人の参政権と国籍
「国際社会から見た国籍の概念」のテーマで田中宏さんよりまず始めに、国籍法における血統主義と出生地主義の2つの方式があることのお話があり、そして領土の変更と国籍の問題について、北方領土問題などのお話を交えての問題提起がありました。またサンフランシスコ条約の領土条項に基づき、その時日本は在日朝鮮人たちに対して日本国籍を剥奪したことなどによる「当事者の意思不問」の問題点などを明らかにしていきました。そういった過去の事例をふまえ、地方参政権問題や国籍についての与党プロジェクトチームの法案に対する問題点や現在の日本の「国籍」に対する論議の不充分性などを明らかにしていきました。
「在日韓国・朝鮮人と国籍を考える〜サンフランシスコ条約発行から50年〜21世紀『在日』の姿を模索する」のテーマで河炳俊さんより報告がありました。特別永住者の日本国籍取得の特例に関する法律案については、過去において一方的に日本国籍を剥奪されたと感じている人、あるいは帰化申請時の屈辱的対応が不満で思いとどまっていたり、手続きの面倒さが嫌で帰化を実行しない人たちにとっては朗報であり、選択肢を広げる意味からも「大きな前進」と評価すべきだという意見をされました。またこの間の永住外国人に地方参政権を付与する法律案についての論議の過程で国籍法緩和による地方参政権の付与が見送りになった問題点などについて明らかにされました。
ツルネン・マルティさんからは自身が23年前に帰化をした時は、本当に厳しい条件があり、法務局に何度となく足を運んだことや、それでも日本で生活していく手段として帰化をしたことなどについてお話されました。またカナダの帰化条件は、言葉がどの程度話せるかなどといったポイント制だということなど紹介されました。
【特別分科会】「在日外国人へのボランティアとしてどう関わるか」
「日本語指導活動からの報告」というテーマで西村要さんから報告がされました。豊中市で市の国際人権部、教育委員会、市の外国人教育推進協議会(市外協)などが協力して、渡日児童生徒相談室が作られました。その相談室は、新しく入ってくる渡日の子どもたちに対して、彼らの権利を守り、生活を守るためにできました。そして、その相談室が行ってきた活動の報告と、実践を通じてみえる渡日の子どもたちの現状や、渡日の子どもを迎えた学校が取り組みとして言葉の壁、心の壁をどう越え、異文化理解や多文化理解をはかっているのかについて語られました。
そして次に「企業社会活動の実践からの報告」というテーマで菊地健さんから報告がされました。松下電器の中にある社会貢献活動部門に関わることで、菊池さんが行ってきた実践、および、1998年から一般市民とともに参加型で学習するシチズンシップ・コラボレーション・カレッジの実践事例が語られました。菊池さんは、松下の社員、日本人がもっとグローバルな視点で物事を見ることが必要であり、環境問題、国際協力の問題、多文化共生、男女のジェンダーフリーという問題などについて考えていかなければならない時代に入っているので、企業の研修や一般市民の人権啓発が大切であると語られました。
最後に、「学校通訳ボランティアからの報告として」というテーマでヴァニア・アラルジさんから報告がされました。始めにヴァニアさんが日本で生活した中での経験や困難が具体的に語られました。また、現在、日本語指導が必要な外国人の子どもたちの全国での受け入れ状況、全国で1万8千人を超える子どもたちが日本語指導を必要としながら、日本の小・中、高等学校等に通っているということ、そこから見える課題についてお話しがありました。
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