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ツルネン・マルティさん
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プロフィール

1940年フィンランド生まれ。1967年にキリスト教会の宣教師として来日し、1979年に日本に帰化。1992年に湯河原町町会議員に当選し、1995年まで議員をつとめ、2002年2月に参議院議員となる。著書に「日本人になりたい」、「青い目の国会議員」、「ツルネン国を創る」など。
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(元湯川原町議会議員・文化評論家・エコイスト)
「多民族共生社会への提言」
2001年12月17日
2001年多民族共生人権研究集会 記念講演
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私は34年前に日本にきて、日本国籍をもっていますが、さまざまな日本の人とも、「在日」の人とも立場が違います。みなさんと意見の違いもあるでしょう。いろんな違いをもつ人たちと、どうやって共生社会を築くことができるか、一緒に考えたいと思います。
はじめに「共生」という言葉の意味ですが、これが人間社会を表すようになったのは、日本では10年前ぐらいから。それ以前は、植物・動物の違った種類が互いに相手を利用しながら生かしながら共生するという意味です。それが今度は人間社会を表すことになった。共存共栄の社会が実現すればすばらしいのですが、今は目標であり理想です。共生とともに、「共創」が大切だと思います。共に創る、共に社会を築き上げていくということですね。
私はよく、「あなたは今なにじんですか」と聞かれます。私の今のアイデンティティは、フィンランド人でもなければ、日本人でもない。地球市民でありたい。私が国籍を取得したのは、残念ながら日本で仕事するには外国籍のままでは不利な点が多いからです。国籍は私にとって、手段でした。私の母国フィンランドには、たくさんの日本人が生活しています。一人、私と全く逆の立場で、30年以上フィンランドで生活している友人がいますが、彼はフィンランドに帰化していません。なぜかと聞くと、「日本国籍のままで困ることは全くない。違うのは国政選挙に参加できないことだけ。あとは地方参政権をはじめ、制度も全部与えられているから」と言うのです。将来的には日本もそうなればいいと思っています。
私が帰化したもう一つの理由は、日本社会にとけこむためには、できるだけ日本人と同じようにふるまって、同じになろうとしたからです。でも、日本人になるのは私には無理です。周りも期待していないとがわかってきました。ひょっとしたら前世では日本にいたかもしれないと思うぐらい、日本は私にとって親しみのある国ですが、それでも日本の社会は、いろんな意味で私を外国人と見ています。湯河原では、日本初の「青い目の」議員になって、マスコミでもたくさん取り上げられました。自分でそう言わなかったのに、マスコミも周囲も「青い目の議員」と呼びました。講演を頼まれる時も、「青い目の日本人として話してください」と言われる。今でも「外から見た目で日本の社会を話してください」と頼まれます。湯河原の議会で私に発言が求められた時も「さあ、青い目のツルネンはどう思いますか?」と。私が理解しにくいところがあると、「ああやはり、外国で生まれ育ったツルネンには無理」と言われました。私は自分からは「青い目」という言葉、絶対に使いません。
日本社会は、人を三つのグループにわけてるんじゃないかと思います。一つは仲間。次が「よそ者」。もう一つは「ゲスト」。たとえば私たち西洋人。残念ながらそこでも差別があり、アジアの人よりゲスト扱いされています。でもゲストは「仲間」ではないんですね。
面白い習慣が日本にはある。引っ越しして、最初にやることは、新しいタオルとか石鹸をもって近所に挨拶まわりにいきます。「私はここに引っ越してきた田中ですから、よろしくお願いします」と。よそ者が「仲間にいれてください」と言うわけです。私は一年ばかりアメリカで生活したことがありますが、その時は、全くこれと逆のことを体験しました。引っ越しがまだ終わらないうちから、次から次へ、周りの人が挨拶に来ます。「ようこそ、この地域へ」。「これは私の電話番号です。わからないことがあったらいつでも聞いてください」と。周りの人たちがよそ者を仲間に入れてくれる。フィンランドにもこの習慣がかなりあります。日本の社会のなかには、よそ者は頭を下げて、仲間に入れてくださいと頼む。私がアメリカで体験したような習慣に変えることができたら、これだけでも、外国人たちは「よそ者」にならず、もっと住みやすい社会になるんじゃないかと私は思っています。
忘れてはいけないことは、日本で今できあがっている文化は、「日本人」だけが築き上げた文化ではないこと。アジアやヨーロッパの影響があり、今ここに160万人の外国籍の住民が住んでる。いろんな人が一緒になってこんな文化になったということを、多くの人は理解してますけども、残念ながら、政治家の中にそうでない人がいるようです。最近またある議員が「日本は単一民族」と言ったそうです。もちろんこれには、みなさんから抗議があって、次の日は謝ったそうですが、それで考えが変わったかどうか。7月にも「アイヌ民族は全く同化された」と発言した、自民党の衆議院議員もいました。1997年には、もちろん十分なものではありませんがアイヌ新法がつくられ、アイヌは日本社会のなかで、ひとつの民族として権利を持っています。日本は単一民族ではないことを、アイヌたちも示しています。
日本は今は失業率が高いんですけど、今後労働力が足りなくなります。そうすると国連の推計では、30年間で日本は人口の2割は外国籍になる、と。その時はもっと摩擦が出てくるはずです。言葉は良くないのですが「不法滞在」といわれる、労働許可をもってない人が、今も20万人以上いて、働いているんですね。彼らの日本での立場は、本当にひどいと思っています。彼らにも、社会的な保障をもっと用意すべきです。そのためにも、私はもし国政に入れたら、国会議員として、まず彼らの立場を法的にも守らなくてはならないと思っています。日本人は自分がしたくない仕事、単純作業を外国人にさせています。法的には認めてないんですけど、利用しています。その人達は日本の社会で大きな役割を果たしています。いわゆる3K、きたない、きつい、危険という仕事は、彼らがやってるんです。
次に外国人に対する差別に触れます。例を話すと、一時間では足りないのですが。驚いたことには、「ジャパニーズオンリー」、日本人しか入れない店が東京にもたくさんあるそうです。北海道にはもっとあるそうです。北海道で問題になったのは、銭湯に外国人を入れないことでした。酒を飲んだとか、迷惑になった例があると報道されていますけど、とにかく、外国人だから入れないというのは、おかしなこと。フィンランドでもありえないことです。もちろん、フィンランドでも西洋社会でも、外国人たちに対する差別はありますよ。でもそれを社会が、行政が、国が、目をつぶって認めているというのは、先進国では多くないと私は思います。みなさんご存じのように、在日韓国・朝鮮人の子どもがチョゴリを着ていたら差別を受けたり、民族の名前を使えない、ということにはびっくりします。
私はよく講演でこういう言葉を使っています。「レッツ・ビー・ポジティブ」。前向きに、現実的にということです。湯河原の議員のときもこれに従いました。批判も批評も必要で、なくてはならないものです。問題を明らかにするために私たちはここにいます。でもそれで終わったら絶対いけないわけです。どうやってそこから展望を切り開くか。そこで、大まかに考えると、私は私たちの権利と義務を両輪であることを忘れてはいけないということを強調したいです。私たちマイノリティも、社会のなかで権利がある。人権からみて許してはいけないことを言っていくのは当然のこと。でも同時に、私たちは日本の社会のなかで、国籍があってもなくても、責務もある。自分たちの問題だけなくて、社会にどんどん提言するということですね。素晴らしい動きもあります。川崎市では外国人市民代表者会議が、8年も前から始まりましたね。いわば外国人たちの議会ですね。李仁夏さんもメンバーの一人です。行政に対して、自分たちの問題だけじゃなく市民として提言している。それを市は受けて、実行できることは実行している。他の地域でもいろんな動きがあり、人権問題をはじめ、社会のあらゆる問題にとりくんでいます。部落解放人権研究所のレポートによると、企業で、外国人だけでなく男女平等とかいろんな問題について、具体的な提案をたくさん出しています。こういう動きはあるのは嬉しいことですし、進めていかなくてはなりません。
善玉菌の役割について述べます。私たちマイノリティは何ができるか、こんなに問題があったら、いったいどう解決できるか。力がたりない、無理と思われがちです。でも少数でも力を発揮できるんです。微生物を社会にたとえることができます。微生物には善玉菌と悪玉菌と日和見菌があり、一番少ないのは善玉菌、多いのは日和見菌です。でも力を発揮するのは、数の上では少ない善玉菌ですね。悪玉菌も悪い働きをやめて、善玉菌に変わることがあります。日和見菌は、ほかの菌の働きを見て、どっちにもいきます。社会の中でもそうです。ぜひ皆様も、善玉菌になった気持ちでこういう運動に参加してほしいと思います。
最後に、フィンランドでは外国人の参政権はどうなっているか、その背景、あるいは 私はどう思っているかについて、かんたんに話をさせていただきます。
フィンランドでは1992年に、「二年以上引き続き生活いるすべての外国人には、被選挙権と選挙権を与える」ことになりました。スカンディナビアの人はもっと前からそうだった。フィンランドはEUにも加盟していますから、EU加盟国の人は、フィンランドに51日間住んだら、参政権を持てます。日本では、外国人に地方参政権を、という法律案がありましたけれど、自民党の抵抗で、継続審議になっています。かなり時間がかかりそうです。法律案も、私から見ると中途半端なものです。被選挙権はないからです。永住者だけ、という資格の問題点もありました。一日も早く、選択が用意されるべきですね。外国人自身の選択として、日本国籍をとるか、そうじゃなければ自分のアイデンティティを守りながら、それでも地方参政権は得られるようになるか。これはあたりまえと思っています。ただ、これを日本では、国が決めるまでは、いつまで待っていても決まらないと思いますから、地方自治体レベルで決めるようになればいい。もちろんそのためには法律の改正が必要ですが。外国人参政権について調査すると、日本人一般でも、7割は賛成です。国会議員アンケートでは、名前を出さなかったら、個人的には7割が賛成。でも党利党略の結果、ああいう結果になってしまう。そして地方自治体からおそらく、国への意見書が1,600ぐらい出ています地方自治体は外国人地方参政権を求めてるんですね、ブレーキになってるのは、一つの政党の人だけですね。
これで終わります。ありがとうございました。
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