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在日外国人高齢者無年金問題を考える
〜当事者(在日韓国・朝鮮人制度的無年金高齢者)の思いを聞く〜
2002年11月7日
2002年度第2回多民族共生人権啓発セミナー
今回のセミナーは、在日韓国・朝鮮人(外国人)高齢者の方々に気兼ねなく、ありのままの自分で楽しい旅行をして頂くことを目的として実施された(※)「2002年度第1回 おるに
よへん(高齢者 旅行)」の行程の中で、共催という形での実施となりました。
内容は、大阪府健康福祉部高齢介護室及び大阪市健康福祉局福祉本部の職員の方々をお招きし、「おるに よへん」の参加者である在日韓国・朝鮮人高齢者の方々28名とスタッフその他15名とともに、在日外国人高齢者の無年金問題について考えるというものでした。多民族共生人権教育センター事務局長及び在日コリアン高齢者福祉をすすめる会大阪理事長の宋貞智(ソン・チョンヂ)さんが司会進行を務めました。
セミナーの中で、在日韓国・朝鮮人高齢者の方々は普段の生活で感じているさまざまな思いを語っておられました。
※「2002年度第1回 おるに
よへん(高齢者 旅行)」
主催:NPO法人在日コリアン高齢者福祉をすすめる会大阪
後援:社会福祉法人大阪市社会福祉協議会/大阪市生野区社会福祉協議会、協力:大阪市健康福祉局福祉本部/大阪市生野区役所健康福祉サービス課)
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| 大阪府介護保険課:西村氏 |
大阪市:大阪市健康福祉局福祉本部高齢者施策部高齢福祉課の原田と申します。
大阪府:大阪府健康福祉部高齢介護室介護保険課、西村と申します。よろしくお願いします。
宋:こちらが年金の担当の方々です。それでは皆さん、年金のことで聞きたいことがあればそれぞれ質問をどうぞ。
在日韓国・朝鮮人高齢者(以下「在日高齢者」という。):なんで年金がもらえないのかわからないです。
在日高齢者:どうしてなのか理由が知りたいです。
宋:なぜ無年金なのかわからないという質問ですが、それが大多数の皆さんの率直な気持ちだと思います。
在日高齢者:うちら年金ないことと、色々なことが重なって生活がしんどくなった。だから年金の申し込みに行ったけど、韓国人やからあかんて言われたわ。もともと苦しいのに、よけいに生活苦しいですよ。だからといって、子どもに(お金を)くれくれ、言えますか。子どもも苦労しているのをわかっているのに、どうしたらいいのですか。本当につらいです。これを何とかしてもらえないと生活できない。税金は(日本人と)同じように払っているのになぜ同じように年金がもらえないか、ということが不満です。
在日高齢者:(私は)日本語下手やけど、自分の立場の話をしてもいいですか。自分の年金もなくて、娘と息子に少しずつお金をもらいながら生きていくのはつらいです。そんな人達はどうなるのかなと思います。
在日高齢者:子どもたちにもらうのは本当につらいのです。
宋:私のオモニ(母親)も無年金です。年金がないから、子どもたちからお金をもらうしかない、働くことができないし。子どもに生活費をもらうというのは苦しいということですが、行政の方、「なぜ年金がないのか」という質問に答えて下さい。
大阪府:それでは、無年金になっておられる方の状況について簡単に申し上げます。今現在76歳以上、1926年4月1日以前に生まれた在日外国人の方は年金制度の狭間にあり、無年金となっています。年金への加入には日本国籍が必要だったからです。1982年に日本が難民条約を批准したので、日本国籍でなくても年金に入れるようになりました。1985年には国民年金法が改正され、1986年から施行されました。老齢基礎年金の導入により、保険料を納める期間が足りない人は、実際にお金を払ってなくても、その期間は、お金を払ったことにしましょうという、カラ期間がつくられました。無年金の人を少なくするためです。それでも保険料をおさめる期間が足りない日本人の場合は老齢福祉年金が支給されました。しかし、結局、カラ期間を利用することのできなかった1986年で60歳以上(現在76歳以上)の外国籍の方は制度の狭間となり、無年金となりました。
宋:韓国・朝鮮人は、もともと朝鮮半島に住んでいましたが、色々な理由で日本に住み始めました。戦争が終わっても、本土では朝鮮戦争が始まったり、日本で子どもを生んだりして、日本に住み始めることになりました。その当時は、在日韓国・朝鮮人の人たちは、年金だけではなくて、色々な行政のサービスを受けることができませんでした。
在日高齢者:ちょっとまってや、私ら戦争中は日本人やったやんか。
宋:1910年に日本は朝鮮半島を植民地にしましたが、1945年に日本が戦争に負けて、1952年にまた日本国籍をとりあげられたわけですね。その後、戦争が終わって大分たってから、日本は1982年に難民条約という、外国人に対して差別してはいけないという約束をしました。制度上で国籍条項という「日本人しかだめだ」という規制をしてはいけない、として、1986年の法律施行の時には、60歳以上の人は年齢が関係して年金に加入できないけれども、その年齢以下の人は年金やいろいろな制度に入れるようになりました。でも、現在76歳以上の人の無年金問題はその時からずっと解決していない。そのような国の制度が変わるのを待つことはできないので、大阪市や大阪府にも税金を払っているのだからどうにかして下さいということで、年金の代わりになる給付金が出ることになりました。
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宋貞智事務局長
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大阪市:大阪市では、「在日外国人高齢者給付金支給事業」を実施させて頂いています。大阪市に在住する1926年4月1日以前に生まれた方で、1982年1月1日以前から引き続き外国人登録している方に月額10,000円を1996(平成8)年の10月から支給させて頂くことになりました。現在のところ、2,200人くらいの方がこの給付金を受けられています。給付金の受給者では生野の方が多いということは承知しております。
宋:この給付金は「年金」という名目を出していないけれど、国がしないところをその間待つことができないから、大阪市民であり、税金も払ってくれているということで、大阪市が行っていることです。でも、支給額は10,000円でしょう。10,000円では生活できません。
在日高齢者:うちらは大阪市で毎月10,000円やけど、他の地域に住んでいる人は額が違うと聞いたよ。
宋:この給付金は国の制度ではなく、自治体が少しでも、ということでお金を出しているので、住む地域によって額がバラバラになっています。大阪市より額が多い地域もあるけれど、このような運動がないところは、給付金がないところもあります。
在日高齢者:その給付金をもらうのに、何か制限はありますか。
大阪市:給付金支給の年齢要件については先ほど申し上げた通りなのですが、
(1)生活保護を受けておられる方
(2)他の公的年金を受けられている方
(3)障害者の給付金をうけておられる方
(4)老人ホームに入っておられる方
(5)本人、配偶者、扶養義務者の方が老齢福祉年金の全額支給停止に相当する所得を有する時
(6)何らかの形で、大阪で生まれても他の地区に住所をおいて、そこで給付金を受けておられる方
この6点で給付制限をさせてもらっています。
宋:(5)について、もう少しわかりやすく言ってもらえますか。
大阪市:世帯構成によって変わります。全額老齢福祉年金の適用が停止になる場合は、配偶者や扶養義務者の所得が、扶養親族がいない場合年額628万7,000円、扶養親族1人で653万6,000円、扶養親族5人になると738万8,000円あると、老齢福祉年金が支給されません。それと同じように、現在の無年金の給付についても適用されるということです。給付金の支給対象である本人だけの所得でいうと、年額159万5,000円となっています。例えば、家賃収入、株式の配当などの収入がある人たちです。
宋:要するに、本人・家族に収入があると給付金はもらえないということです。無年金だから家族と一緒に住まないといけない。年金があれば独立することも可能です。在日高齢者一世の人達には、年金給付が保障されるべきであるのに、その代わりとなっている給付金が10,000円というのはあまりにもひどいと思います。1986年の段階で60歳以上の人を給付の対象にしなければならなかったのに、対象にしなかったから問題になっています。
宋:次に地域のことですが、大阪市には24区あって、1区ごとに高齢者の方々の相談を受けたり、地域でより良く生活して頂くために、区の在宅支援センターがあります。今日は、生野区の在宅支援センターから局長が来てくれています。
生野区社協:生野区社会福祉協議会の事務局を運営している山田と申します。
宋:大阪市には、大阪市社会福祉協議会があります。
大阪市社協:黒川といいます。よろしくお願いします。
宋:社協の方々には無年金のことは内容もわかってもらっているし、すぐには解決することができない問題であるけれども、協力し合い、問題に取り組んでいきたいと思っています。今日は、無年金のことを含めて社会福祉のことに関連ある人達が来ています。社協の方々は、社会福祉のことで皆さんが困っている事を知りたいし、どういう活動をしていけばいいのか、一緒にやっていきたい、と思っておられます。だから、普段地域で暮らしていて、感じることを話して下さい。例えば、老人会のことを聞いてみたいと思います。地域で老人会に入っている人はいますか?
在日高齢者:ない、誘いに来ない。
宋:「入れて」って言ったことはありますか?
在日高齢者:入れて入れてってそんなみじめなこと言えない。
在日高齢者:入るのか入らないのかも聞かれていない。
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| 大阪市高齢福祉課:原田氏 |
宋:大阪市には、在日高齢者が地域のどこに住んでいるかを知って、何か困っていないかということがわかるように、ネットワーク推進委員という地域の役員がいます。そのネットワーク推進委員さんたちを知っていますか?その区の中で「ご飯食べに来て下さい」とか「体操しに来て下さい」という誘いは来ませんか?
在日高齢者:知らない。
在日高齢者:誘いは来ない。
宋:声をかけてもらえるようにしてもらわないと。
生野区社協:回覧やビラを使って情報は流しています。
宋:無年金問題は国が変わってくれたら解決できるのですが、それを待っていることもできないということを、府の人も市の人も分かって下さっています。そこで、最後に一言ずつ頂いて、この会を終了したいと思います。
大阪府:皆さんから、直接生の声を聞かせて頂き、ありがとうございました。年金制度の狭間ですので、給付金制度が必要だということは認識させて頂いています。しかし府の状況は、倒産寸前の会社のように厳しいということです。大阪府から国に対しては、厚生労働省に要望書を提出しています。今後も、府からの要望活動を続けていきたいと思います。
大阪市:大阪市としても、1996(平成8)年から補完制度として給付金制度を設けてきました。無年金問題につきましては、大阪府ともども、機会あるごとに、合わせて国の方に要望を続けていきたいと思います。
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