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「就職活動を通じて」
2003年11月15日
多民族共生人権教育センター第4回就職セミナー パネルディスカッション
11月15日に開催された「多民族共生人権教育センター第4回就職セミナー」の中で、今年、就職の内定をもらった3名の在日コリアン学生に「就職活動を通じて」というテーマでディスカッションしていただきました。これから就職活動を始める大学3年生を中心とした学生のみなさんに、就職活動で自分が体験したことや後輩へのアドバイス等をお話しいただきました。

実はみなさんにご報告があります。単位がとれず、もう一年、大学に残り、もう一度就職活動することになりました。一応、内定を頂いたという事実は変わりませんので、このお話は、皆さんの何かしらの参考にしていただければいいかな、と思っています。
就職はしようと思っていたので今年の2月に入って、リクルートナビにエントリーして、就職活動を始めました。僕は陸上競技部で長距離を走っていたのと、京都で在日朝鮮人の学生が集まって活動する団体をやっていましたので、たくさんの企業を受けることが困難で6社受けました。
僕は高校生までは日本名で学校に通っていて、大学に入ったときに、民族名の日本語読みの「てい・ゆうじ」で大学2回生まで通っていました。大学3回生からいろいろと考えることがあり、朝鮮語読みの「ちょん・ゆさ」に変更し、そのまま継続して就職活動することにしました。
僕は百貨店に行きたかったので、百貨店を中心に回り、大丸、高島屋、京都伊勢丹、阪急百貨店、ルイヴィトン、大阪ガス、を受けました。就職活動をする中でこれは僕の憶測ですが、民間企業にもいくつかパターンがあるように思いました。ひとつは全く民族差別をしない企業、また、「在日」を何名まで採ろうと決めている企業、もうひとつは「在日」をアピールのために選考段階まで持っていって落とす企業・・・などがあると思いました。
就職活動ではどのような21年間、22年間を生きてきたのか、などが問われ、意外と民族名であることや民族的な何かを聞かれるというようなことはありませんでした。大丸の最終面接の最終1分前に人事部の方が「失礼ですが、鄭さんは中国人の方ですか」と聞いてきました。その時に在日朝鮮人学生で、民族名を使っていることを説明し、その日に採用の返事を頂きました。大丸が自分を民族差別せずに、また企業アピールでもなく、ただ、ひとりの就職活動する学生としてみてくれた、と信じたいと思っています。
しかし、民族差別をしない企業もありますが、民族による就職差別は絶対あります。なぜなら在日朝鮮人は社会的に差別されているからです。
まずは自分が「在日朝鮮人である」ということを知ることから始めれば、より良い就職活動ができるのではないかと思っています。自分を相対化して見る作業や、社会を相対化して見る作業は大事なことではないかと思います。自分が社会の中でどういった位置にいるのか、自分はどういう存在なのか、というのは面接などにもあらわれてくると思います。
よく「在日」という要素は武器だ、ということがいわれますが、僕はその意見に否定的で「在日」であることに優劣はつけることができないと思っています。存在を誇るのではなく、誇るのであれば、自分が「在日」として考えたことや感性や葛藤などの努力を誇るべきだと思っています。
また最後に、就職活動をした中で思ったことは、SPIや、履歴書の書き方などは国籍関係なしに、誰もがしなくてはいけないことだ、ということです。

僕は9ヶ月間、就職活動をおこなってきました。就職活動とは「終わりのわからないテスト期間中」のようなものです。どういうことか、というとあまりハメもはずせず、憂鬱な日々が続くということです。しかしこの9ヶ月間、本当にいい経験をしたと思っています。
みなさんにどういう就職活動をおこなっていってほしいか、といいますと、自分の興味ある、なし、に関わらず、会社説明会や学内セミナーにどんどん参加していってほしい、ということです。初めから職種・業種をしぼらなくてもいいと思います。たくさんの企業をみてまわるなかで、最終的に決めればいいと思います。僕はエントリーだけでも100社しましたし、会社説明会には70社ほどいきました。また、僕が全く志望していなかった金融業界のオリックスの会社説明会にも勉強だと思い、参加しました。しかしこれが後に自分に対して影響を与えることになったのです。オリックスの営業のSさんという方のサクセスストーリーや営業に対するアドバイスを聞けたことにより、仕事に対する不安が少し取り除かれ、仕事のポイントや自信みたいなものが見えてきたのです。今の時期、学生のみなさんは「自己分析ってなにか」「自己PRとは」と悩んでいると思いますが、こういったきっかけから芽生えてくるものではないか、と思います。ですので、みなさんには多くの企業に積極的に貪欲に、狭い視野にとらわれず、多くの出会いをしていってほしいと思います。
そうはいっても面接で嫌な思いをしたり、また、朝は大阪、昼から神戸、と肉体的、精神的にも非常に疲れてきます。しかし、多くの企業人事部の方が「一週間のうち5日働くのだから、納得ができる会社に勤められることを願っています」とおっしゃっていましたので、ぜひとも妥協せず、自分にピッタリとあった職場を選んでください。よく就職は恋愛に例えられます。僕もたくさんの企業にふられ、落ち込んだりもしました。でも前向きに考え、自分を奮い立たせて、あきらめず、がんばることによって当初希望していたカネボウに就職することができました。

アンニョンハシムニカ。アサヒビールから内定をもらった李圭鎬と申します。自分の経験からお話させていただきます。僕は家が焼肉屋で、狂牛病のことがあり、経営も苦しく、父親がストレスで体を悪くし、倒れてしまいました。実は僕は5回生です。1年(大学を)休学して店の経営をしました。そして去年の今ごろ復学しまして、家を継ぐのか、就職するのか、大学院にいくのか、資格をとるのか、とても悩みました。みなさんがこの就職セミナーの場におられるということは、就職というものをひとつの可能性として見ているということで、(去年の今ごろの)僕より一歩も二歩も進んでいると思います。僕が就職活動をはじめたのは今年の2月の終わりくらいで、内定を頂いているアサヒビールもエントリーシートの締め切り2日前に募集に気づいた状態でした。運がよかったと思います。なので、事前準備は大事だと思います。僕は筆記試験やSPIにことごとく落ちまして、すごくくやしい思いをしました。在日朝鮮人がどうとか、自分があれやりたい、これやりたいとか、関係なく、点数で落とされるのが、すさまじく、くやしいんですよ。そういう思いはできるだけ少ないほうがいいと思うので、本屋に売っている「SPI、これで大丈夫」みたいな本を今から1冊やっておけば、結構出来るのではないかと思います。
エントリーシートや履歴書は本当に苦労しました。修正液を使ったらダメとか、1字間違ったらダメなど、不文律的なものがありまして、書き直さなくてはならず、本当にしんどい思いをしました。なのでエントリーシートや履歴書に、1つの形として書けるような「私はこういう人間です」「こういうところに強みがあります、弱みがあります」ということが見つかっていれば楽だと思います。見つかっていなければ悩めばいいと思います。僕は就職活動を実質1ヶ月半くらいしかしていないので、偉そうなことはいえませんが、「オレってどういう人間なんだろう」「オレって何ができて、何ができないんだろう」と、ノイローゼになりそうなくらい悩みました。今までの人生もそうですし、これからの人生はどのくらいあるかわかりませんが、これだけ自分自身のことを考えることはないのではないか、と思います。だから(学生のみなさんは)職種のことや「何がやりたいか」など大いに悩んでもらったらいいと思います。誰もが通る道だとある種、割り切ってやっていただいたらいいかと思います。悩んで自分なりの答えを見つける、これに尽きると思います。人にいろいろいわれてする就職活動はあとあと後悔します。どこまでいっても今お話していることは僕の体験であって、みなさんの体験ではありませんから自分なりの就職活動や就職観、人間観、社会観を培っていって欲しいと思います。
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