多民族共生人権教育センター
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講演 有道出人さん「外国人バッシングの現状と今後の対策のあり方」

有道 出人 さん

有道出人さんプロフィール

1965年アメリカ・カリフォルニア州生まれ、ニューヨーク州出身。1986年に初来日し、2000年に日本国籍を取得。
現在、小樽温泉における人種差別の件で札幌高裁にて係争中。2003年4月単行本「ジャパニーズ・オンリー 小樽温泉入浴拒否問題と人種差別」(明石書店)出版。

(北海道情報大学 助教授)

「外国人バッシングの現状と今後の対策のあり方」

2004年6月14日
多民族共生人権教育センター
特別講演

外国人の定義

 皆さん、こんにちは。私は有道 出人(あるどう でびと)と申します。今日の講演のタイトルは「外国人バッシングの現状と今後の対策のあり方」ということですが、いろいろなことをどのように掘り下げていけばよいかを説明したいと思います。私の発言から「外国人を日本人と同じ様に平等な扱いをしなければどうなるか」を考えて頂けると思います。
 現在、外国人差別がある理由は人種差別撤廃法がないことが関係していると思います。私の経験からお話しますと、2002年、大阪に行く用事があって新千歳空港の銀行を出るところで警察官に「外国人登録証明書を見せろ」と言われたのです。「どうしてですか」と聞くと、「外国人だから見せろ」と言われました。「不審者じゃないのにどうして止めるのですか。職務執行法第2条に違法しているのではないですか」と言うと「外国人登録法によると外国人の場合、いつでも身分証明書の提示を求められる」と言われました。
 ここで1つ問題があります。私は外国人ではありません。私は、外見は日本人には見えませんが、帰化をして日本国籍を取得した日本人です。帰化した人たちは1967年以降30万人もいます。参議院議員の弦念 丸呈(ツルネン マルテイ)さん、小錦さん、曙さん、三都主さんも日本国籍者です。「私の顔だけで、不審者である、外国人だと判断したのではないですか」と尋ねたら「そしたら、日本人である証明を見せなさい」と言われたのです。これは単なる外国人バッシングです。
 また、国際結婚は毎年4万組ほどとなっています。その7割は、日本の男性と外国人女性との結婚です。現状では、その夫婦の子どもが日本人離れした顔をしていたら、外国人扱いされてしまうのではないでしょうか。
 彼らは日本で生まれ、日本で育ち、母国語は日本語で、日本国籍者なのです。しかし、警察はそういう人を見つけたら身分証明書の提示を求める可能性があります。我々の様な人たちの人権を擁護する法律はありません。これは、人種差別にあたる事が行われる原因ともなります。日本は、容姿だけで日本人かどうかを判断してはいけない時代を迎えているのです。

公然と行われている外国人排除

有道出人さん 2004年6月7日、僕は山梨県甲府市にある有名なチェーン店のスーパー銭湯に行きました。そこでは、看板に「不法外国人お断り」、「日本語の出来ない外国人お断り」、「身分証明書を見せてください」、「外国人登録証明書を見せてください」と日本語と英語で書いてあります。これは間違いです。
 外国人登録法第13条2項で、外国人登録証明書の提示を求められるのは、地方公共団体の職員、警察官、海上保安官、法務省で認められた者だけとされています。すなわち、温泉、ビリヤード、銀行も外国人登録証明書の提示を要求することは出来ません。
 私が言いたいことは、きちんと法律で定めてあることすらも知らない人が多く、自分たちの都合のいいように外国人を扱う商売人がいるということです。こういったことにならないよう、できるだけ歯止めをかけ、芽をつんでいってほしいです。どうやって解決すれば良いのかを少し考えて欲しいのです。
 2001年2月青森県の三沢市にある米軍基地へ親戚に会いにいきました。そして、基地の外へ飲みに行くと「外国人の方はお断りします」の看板がありました。私は、入ろうとしましたが、「日本国籍者でも、あなたが入っていると日本人客が米軍基地の人と誤解を招きやすいので入らないでください」の一点張りでした。
 2001年から2004年までの間に7ヶ所で「不法外国人」の言葉を使った看板を取り下げてもらうため法務局の人権擁護部にも改善の要請をし、3ヶ所の看板を下げていただきました。しかし、現在でも4箇所は残ったままです。
 私のことを知っているのに4年かけて同じビジネスホテルにいっても「問題があるならどうぞ起訴してください」といって断られています。問題があるなら、どうぞ起訴してくださいとの事でした。起訴するかは検討中です。これは三沢市の件ですが、外国人を断っているのは三沢市だけではありません。
 同様に、小樽市では1993年から日本語、英語、ロシア語で看板をかかげている入浴施設がありました。そこへ、家族と数名の友達と行ったのですが、欧米人だけが断られ、その中のアジア系の顔をした子ども達には入浴を許可しました。そして、欧米系の顔をした子には「大きくなったらお断りします」と言われました。相手の言い分は「年間3万人ロシア人が上陸しており、数週間お風呂に入っていないため臭い。入浴マナーが非常に悪い。ここにロシア人がいると日本人が遠のく」ということでした。重ねて、「ロシア人だけを断るのは露骨な差別です。ロシア人だけ断れないから皆一律公平にお断りしています」と言いました。
 在日コリアンや、在日中国人はどうなりますか。法律上では外国人になります。店側は、「話をしてみないと外見だけではわからないではないですか」と言いましたが、私の友達に在日中国人がいるのが分かると、慌てて「中国人は出て行ってください」となりました。
 ビジネス、儲けという事ばかりを考えて人の気持ちや人権についてまで考えなければ、ここまでの論争が生み出されます。他にも稚内・紋別それぞれの地域も飲食店や、入浴施設で外国人を排除しています。入浴施設の中には、外国人専用出入り口があり、外国人専用風呂をつくっているところがあります。公衆浴場なので通常は370円なのですが、外国人風呂だけ2,500円もするのです。
 北海道の職員に「差別は撤廃しなければいけない。いろいろな立法を考慮しなければならないし、行政の間で話さなければ解決していかない」と申したところ「これは民間の範囲なので、ルールを撤廃することはできません。我々は、そのルールを法で規制することまで行う必要はないのです」と言われました。
 大阪府は人権センターや会社内にも人権のことを考える人たちの部署を設けてくださっていて、とても嬉しいです。このような例は北海道では聞いたことがありませんので、お話したような事にならないように進めていって欲しいと思います。

作り出された外国人犯罪

有道出人さん みなさんは、最近外国人犯罪が増えていると思いますか。警察庁が中間のレポートを出すので、毎年3月と9月ごろよくテレビでやっています。
 そこでは、毎年外国人犯罪が増えていると言っていますが実はそうではありません。警察庁から発表された平成13年(2001年)の統計を見てみると、外国人の犯罪件数は横ばい、またはやや低下しています。
 アムネスティ・インターナショナルによると、2003年度における日本人と外国人の刑法上の検挙人員は379,602人です。捕まった人は40万人いて、そのうち外国人は、8,725人です。圧倒的に日本人のほうが多いのです。
 しかも、外国人の犯罪のうち特別刑法犯(ビザ、オーバーステイの人たち)がどれくらいいるかを見てみると、8,725人中3分の1となります。これは、盗難や殺人と同じ様な犯罪でしょうか。
 数多くのオーバーステイ者は、女性の場合、主に風俗業などをしている人が意図的にオーバーステイという状況におかれています。もし問題があれば、給料が支払われなくなります。「どうぞ(行けるものなら)入国管理局へ行ってください」と言われ、結局「我慢しなさい」ということになるのです。
 男性の場合、低賃金で過酷な労働を強いられている人たちがオーバーステイとされ、パスポートも取り上げられて給料もカットされるのです。
 実はオーバーステイが多くなるのは、日本人による部分もあるのです。しかし、そのような会社の事は取締りしていません。
 「出入国管理および難民認定の一部改定する法律案関係資料」によると、オーバーステイの人たちは、1日でもオーバーステイすると強制送還になります。罰金は30万円から300万円にもなります。
 そして、追放されたら再入国まで改定前は5年でしたが、改定によって10年かかることになりました。ある友だちは、1日だけオーバーステイとなり帰る時に成田空港でつかまって1泊6万円もかかる留置所に1週間も入れられました。このような場合、オーバーステイしているのか、オーバーステイを余儀なくされているのかをきちんと調べてほしいのです。

過度の警戒と外国人差別

熱心に話を聴く参加者 また、外国人犯罪が多発しているわけではないのに、銀行や公の場には「外国人犯罪要注意」というビラが掲げてあります。
 あたかも外国人犯罪が起こっているかのように広告していると思ったので、警察官にたずねると、予防策をとっているのだと言われました。
 これは“ゾウさんの原理”だと思います。ある人が靴を脱いで机をバンバンたたいています。「どうしたの?」と聞くと、「ゾウさんが来るかもしれないから来ないように威嚇しているんだよ」と言いました。「でも、ゾウさんいないよ?」と言うと「ほら、効果あるでしょう!」という話です。
 これと同じ様にこれらのポスターを掲げることで外国人の犯罪を防止していると言っています。実際はゾウさんも外国人も来ていないのに防止なのです。外国人のイメージダウンにつながります。皆さんの会社ではこのようなポスターを掲げないで下さい。
 外国人も住民です。外国人のほとんどは犯罪を起こしていないのです。パーセンテージで言うと、外国人の犯罪は1.8%です。そこからビザの件を引いて考えると1.3%になります。外国人の人口全体の1.5%ですので外国人の犯罪は日本人の犯罪率よりも低いのです。
 しかも、日本人の犯罪は1993年と比べると20%増加しています。それを公にしないのは日本人の犯罪増加が分かると、警察官がもっとしっかりしなさいということになるからです。外国人だと追放してしまおうと言いやすいのです。こういうことに負けないで下さい。
 最後に申し上げたいことがあります。皆さんには人権を考える人として、物事が本当に正しく伝えられているのかどうか、政治的な理由で伝えてられていないかどうかをもう少し詳しく調べて考えて頂きたいということです。そして、自分の周りの外国人、及び自分たちの人権も守っていってください。

●有道出人さんのホームページ:http://www.debito.org

 

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