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ニュース NTT DoCoMoが新しくなりました!! 〜在日外国人の人権の視点から預託金制度を考える〜

NTT DoCoMoが新しくなりました!!
〜在日外国人の人権の視点から預託金制度を考える〜

●預託金制度とは…

 NTT DoCoMoグループ全社は、2006年4月1日から、一律に在留資格に期限のある外国人に対して請求していた預託金制度を廃止しました。
 この「預託金制度」というのは、外国人が携帯電話の新規契約を申し込む際、在留資格に期限があり、料金の支払い方法を銀行引き落としではなく、請求書払いにした場合には預託金として通常の料金以外に3万円の支払いを求めていたものです。

●制度廃止までの流れ

 2004年9月にさまざまな立場の在日外国人が集まって、当事者の立場から日本の外国人差別の現状を把握しようという会議を行いました。このとき、1人の参加者からNTT DoCoMoで携帯電話を申し込むと預託金を請求されるという話が出てきました。さらに、小樽の入湯差別事件の原告である有道出人さんは、2002年6月に「預託金制度は外国人の人権を無視した行為であり、国籍や在留資格に関わらず、料金未納者に対する対策として考えるべきである」という抗議文を提出していたことも分かりました。当センターが預託金制度を把握したのは、預託金制度開始から2年5ヶ月も経った後で、有道さんが抗議文を提出してから2年以上が経過していました。この2年以上の間、NTT DoCoMoグループ各社は、当事者である在日外国人が人権上問題であると指摘していたにも関わらず、約款の改定を行いませんでした。そのため、当センターでは再度事実確認を行うことにしました。

 まず、(株)NTT DoCoMo関西に電話し、本当にそのような事実があるのかを問い合わせました。その結果、上記のような条件において預託金を請求しているということが確認できました。
 そこで、「預託金制度」を作った理由や、当事者から抗議文が提出されているにも関わらず、どのような考えで「預託金制度」を続けているのかを聞くため、2004年9月15日、(株)NTT DoCoMo関西の総務部人権啓発室長、お客様サービス部の方にお越しいただき、お話を伺いました。預託金制度を開始したのは、永住権を持たない外国人の強制解約比率は日本人(永住外国人を含む)に比べて6倍であり、2002年5月から国際電話サービスが手続き不要となるため、滞納料金の増加を防止するためということでした。
 この説明を聞いたうえで、窓口ではどのような対応になっているのかを確認するため、上記条件にあてはまる当センター関係者の協力の下、地域の異なる3軒のDoCoMoショップで新規契約時の手続きについて質問をしてもらいました。そこでは、料金の支払い方法は、口座振替もしくはクレジット引落しのみで、請求書払いはない。本人確認には、パンフレットに記載されている11種類の確認書類の他に、預金通帳の提示も求めているということでした。預金通帳の提示の理由を聞くと、本社からの指示なので、詳しくはお客様相談センターに問い合わせてほしいという説明でした。
 (株)NTT DoCoMo関西からの説明には、永住権をもたない外国人に対して一律に預託金を請求することに関する合理的な理由はなく、窓口の対応にも問題がありました。一見、リスク管理だから“仕方がない”と捉えられがちですが、リスク管理の対象を個別に対応するのではなく、会社側の都合で一括りに条件化してしまうことが問題なのです。
 (株)NTT DoCoMo関西の担当者の方には、この制度が、在留資格による「差別」だということを説明し、一定の理解を示していただきました。しかし、約款を改定するためには(株)NTT DoCoMo関西の親会社である(株)NTT DoCoMo(以下NTT DoCoMo中央)の承認が必要であることから、次回はNTT DoCoMo中央の担当者も含めた面談を要請しました。NTT DoCoMo中央の担当者も交えた面談は実現しませんでしたが、9月にお越しいただいた人権啓発室長が(株)NTT DoCoMo関西のお客様サービス部と話し合いをもち、外国人の人権を侵さずに滞った料金を回収する方法を検討し直すべきであること、訴えを受けた会社としてNTT DoCoMoグループ全体に「預託金制度」の廃止を働きかけるべきであるという提案をしてくださいました。

 この結果として2004年3月には(株)NTT DoCoMo関西が「預託金制度」は廃止するべきであるという意見を取りまとめ、NTT DoCoMo中央に上申しました。しかし2005年4月、預託金制度開始後も利用料未回収のリスクが解消されていないという理由で上申の却下の返事が返ってきました。
 この返事を受けて、(株)NTT DoCoMo関西の担当者の方はNTT DoCoMo中央との話し合いを行いましたが、在留資格に期限のある外国人を取り巻く状況が2002年から変わっていないこと、在留資格に期限のある方にも支払い方法に選択肢があるため、差別という認識はないことなどを理由に、改善の必要はないという結論を示しました。
 (株)NTT DoCoMo関西の担当者の方は当センター理事等との話し合いを重ねながら、2005年8月NTT DoCoMo中央に対し、(1)預託金制度の目的は料金の未納・滞納に対する与信管理であり、そのことには問題がない。しかし、当事者や当事者団体から、なぜ与信管理の対象を「在留資格に期限があり、請求書払いの外国人」とするのかと尋ねられた場合、(株)NTT DoCoMo関西として合理的な回答をすることができないこと。(2)NTT DoCoMoグループで制度の廃止ができない場合、関西独自に制度を廃止することも検討したが、顧客に対する与信管理の基準はドコモグループで一律であるべきであり、NTT DoCoMo中央主導による全グループ統一的な対応が必要である。という申し入れを行いました。そして当センターがこのことを把握してから約1年後、NTT DoCoMo中央から廃止に向けて前向きに検討するので9月まで待って欲しいという回答を得ることができました。

 2005年9月には、NTT DoCoMo中央がNTT DoCoMoグループ全体で内容確認後、2005年12月をもって在留資格に期限のある外国人に対する預託金制度を廃止するという方針を出しました。
 2005年12月の全国連絡会(課長レベル)では、NTT DoCoMo中央から在留資格に期限のある外国人に対する預託金制度の廃止が提案され、1社の反対があったものの了承されました。この1社については、NTT DoCoMo中央が説得を行い、2006年2月に行われた部長レベルの全国会議で「在留期限のある外国人に対する預託金制度の廃止」が諮られ、全社異議なく2006年4月1日から実施されることで了承されました。

●この事象から見えてくること・・・

 2002年4月8日の制度開始から4年後の2005年3月末をもって、多くの当事者が差別性を指摘した「在留期限のある外国人に対する預託金制度」は廃止されました。NTT DoCoMoグループが制度開始を考えた背景には、旧植民地出身者以外の外国人が多数日本に定住するようになったことがあります。これまでは、日本社会の中で旧植民地出身者以外の外国人はマイノリティの中のマイノリティでした。そのため、旧植民地出身者とそれ以外の外国人が区別されることはありませんでした。しかし、在日コリアンの方々の人権確立運動と旧植民地出身者以外の外国人の増加によって、在留資格でも区別されるようになり、今回のように携帯電話の契約時にも在留資格による差別が生まれてしまいました。

 非常に残念なのは、制度開始後すぐに、当事者や当事者団体から抗議文が提出され、制度の差別性が指摘されているにも関わらず、今回当センターが話し合いを持つまで社内でなんらの検討もなく、制度廃止までに4年という時間がかかったことです。今回の事件で、約100年前の旧植民地出身者への差別的な対応と、現在のマイノリティへの目の向けられ方が何ら変わっていないことがわかります。これは、植民地時代から続く日本政府の「排外・同化」政策によるものです。
 研究集会や啓発セミナーなどで何度も言われていることですが、多民族・多文化共生というのは一方だけが理解しようと努めても成立しません。マイノリティの立場に立って物事を捉え、政策や制度を考えることが重要なのです。今後も、日本社会の無知や無理解、互いの食い違いによって様々な問題が発生することは容易に予測できます。だからこそ、日本社会の進展のために、1人1人が多民族共生社会を求めて真摯に取り組んでいかなければならないのです。

 今回、日本の中で1、2を争う携帯電話会社のNTT DoCoMoが、グループ全社一斉に預託金制度を廃止したことは、今後、他の大手企業や行政がNTT DoCoMoと同じようなことを検討しようとしたとき、マイノリティの定住外国人をリスクの対象として捉えるのではなく、顧客として対応することの重要性を示しました。さらに、人権担当者の役割の重要性も明確になりました。制度廃止までの経過をお読みいただければ分かるように、何度も親会社に反対されながら、当事者の立場に立って訴えた(株)NTT DoCoMo関西の人権啓発室長がいらっしゃらなければ、制度の廃止は遅れていたと思います。人権問題において、当事者(マイノリティ)の立場に立って啓発、支援活動を行うことがいかに重要であるかということを示す、重要な役割を果たしました。

2004年Vol.3 NTT DoCoMo関西 べんりガイドBOOK
2004年Vol.3 NTT DoCoMo関西 べんりガイドBOOKより
預託金についての記述箇所

 

 

 

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