多民族共生人権教育センター
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2002年 新年辞

 新年明けましておめでとうございます。

 昨年は、「多民族共生人権教育センター」の取り組みに、一方ならぬご協力を頂き、誠にありがとうございました。本ホームページ上を借りまして、改めてお礼申し上げます。

 昨年を振り返ってみますと、当センターの設立は、それまで在日韓国・朝鮮人の差別解消に取り組んでいた団体が、その軌道を大きく逸脱していることが問題になり、関係方面から「正常化」の提起を受けたのが契機でした。当初はできるだけ早い「正常化」を願い対処していましたが、実状の調査が進むにつれ、事態は予想以上に深刻なものであることが判明しました。事態は「正常化」で対処しきれる状況ではなかったのです。諸事情から「正常化」は無理と判断し、問題解決のためには新たな団体の設立が近道との結論を得ました。しかし、新たな団体については、従前の団体の「焼き直し」にならないように、社会性と透明性のある団体であることを基本に、団体は在日韓国・朝鮮人問題にだけに取り組むような従来の枠を越え、在日外国人問題全般に対処できる団体との方向が確認されました。それは、在日韓国・朝鮮人問題の長年の経験を、できるだけ早く、今日の在日外国人問題の解決のために役立てるべきとの思いからでした。こうして「多民族共生人権教育センター」が設立されたのです。昨年2月1日、当「センター」の設立記念会には、会場からあふれる人々の参加を頂き、当「センター」の設立は人権問題に取り組む人々や行政・企業・団体から大きな支持を得ることができました。さらに、日が経つに連れ、会員(団体・個人)登録も増え、活動基盤が着々と整っていったのです。

 一方、昨年の「センター」の具体的な取り組みは、「人権啓発セミナー」や在日外国人の就職活動をサポートする「多民族共生就職セミナー」の開催、啓発冊子の発行、各種団体への講師派遣や在日外国人の生活相談など多岐にわたって行うことができました。中でも、昨年12月、何かと気ぜわしい時期の開催であるにも拘わらず、1,000人の参加を得ました。また、この「2001多民族共生人権研究集会」が「本音が話せる(聞ける)研究集会」として好評を博したことは望外の喜びでした。初めて開催した研究集会が、こうしたすばらしい評価を得たことは、2002年の取り組みに大きな弾みとなります。2001年をすばらしい研究集会で締めくくることができた中で迎えた今年は、さらなる取り組みを進めていかなけれならないと、決意を新たにしています。まず、当「センター」の活動基盤を盤石なものにしなければなりません。そのためには、会員の拡大、取り組みの充実はもとより、なにより、当「センター」が人権問題に取り組む多くの人々の信頼を得ることが不可欠です。過去の歴史や被差別の立場を逆手に取った不遜な態度は慎むべきことはいうまでもありませんが、「奢らず、卑屈にならず」の精神で、常に、誠実な姿勢で取り組みを進めていくことが肝要だと思います。

 今年の日本社会の状況は、引き続き外国人が増加する傾向にあることは間違いありません。また、5月に始まる日韓共同開催のワールドカップを契機に、一気に外国人の数が増え、同時に「トラブル」の数も爆発的に増えることが予想されます。しかし、この「トラブル」は共生社会を築くための一種の「麻疹」であるともいえ、どうせ罹患する「麻疹」なら、できるだけ症状を軽くさせるよう心がけたいものです。当「センター」がそれに寄与できれば幸甚です。国内の政治レベルでは、永住外国人の「選挙権問題」と在日韓国・朝鮮人らの「権利としての日本国籍取得問題」が課題となるでしょう。在日韓国・朝鮮人が権利として「日本国籍」を取得すれば、従来の日本人と外国人という2極化した社会の枠組みが崩れ、そこに「韓国系日本人」が登場してきます。この「韓国系日本人」を同化の象徴と見るか、日本社会が多民族共生化している証と見るか、歴史的ともいえる大きな問題が出現します。私たちも、しっかりと議論していきたいものです。また、教育の世界では日本人児童生徒を前提とした学校教育の中に、日本人以外の児童生徒らの教育を保障することが課題になります。「多民族・多文化共生教育」と一口で言っていますが、その中身をより具体的に明らかにすることが求められるでしょう。さらには、在日韓国・朝鮮人高齢者の介護問題も課題になります。在日韓国・朝鮮人高齢者だけの介護のあり方に加えて、在日韓国・朝鮮人高齢者と日本人高齢者が共生する介護のあり方も問われなければなりません。こうした課題山積の中で、今年の「多民族共生人権教育センター」の具体的プログラムのスタートは、3月、「第2回多民族共生就職セミナー」を開催し、共生社会にとって欠かすことのできない就職差別の根絶への取り組むことです。

 2002年も、皆様のご支援とご協力で、充実した取り組みを進めていきたいと考えています。本年も、どうぞよろしくお願いします。

多民族共生人権教育センター理事長 李敬宰

 

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