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多民族共生にむけて人権相談システムの充実を
今後、多様な課題を含む多民族共生にむけて人権相談が重要になってくる。
なぜなら、まず第一に、人権相談を通じた実態把握の重要性を上げることができる。一人の人の人権相談から差別や人権侵害の現実が鮮明に描き出されることは少なくない。統計数字には表れないが、具体的な相談から人権侵害事件の真相や社会の矛盾が投影される場合が多くあり、人権相談は最も新しい現実であり、生のデータである。
第二に、人権相談は、その相談者の問題を解決するのが目的である。相談者はどのような解決方法があるのかというアドバイス等を期待して来ているのである。
つまり、人権相談は、その解決方策を提示していくという機能も担っている。
第三に、解決方策を提示するだけではなく、相談内容や相談内容に対する解決方策を蓄積する機能も併せ持つ。
個々人が個々の人権相談に乗っている段階では、解決方策は相談に乗ってもらった相談者とその解決方策を考えた被相談者のものにしかならないが、それがより幅広いシステムになることによって、多くの人々の相談内容と解決方策が蓄積される。
それらのデータが集積されることによって、過去の相談内容と解決方策を活用でき、現実の人権相談により的確に対応することができ、人権相談システムの強化にも繋がる。
第四に、具体的な人権相談に対応するということは、多様な相談者が数多くアクセスしてくるということでもあり、それらの相談者のネットワークの構築に繋がっていく。
人権相談の内容には差別を受けた相談や人権侵害を受けた相談だけではなく、教育相談、生活相談、医療相談、法律相談なども含む。そうした多様な問題を抱える人によって自身の問題解決を通じて、人権相談システムを中心としたネットワークが構築されていく。
また、相談者の問題を解決するためにもネットワークが創られていく。多種多様な人権相談に対応するためには一つの機関だけでは不可能であり、行政機関や多くのNPOをはじめ、多くの専門機関のネットワークが必要になってくる。
第五に、人権相談に対応するためにはネットワークとともに、コーディネート機能が必要になってくる。個々の相談に的確な解決策を提示するためには、一つの施策だけでは無理な場合が多い。多くの施策を組み合わせて解決策を提示しなければ具体的な相談に的確に対応できないことは多々ある。一つの施策では効果を発揮しないものでも、複数の施策を講じることによって相乗効果を生み出すものもある。
第六に、個々の人権相談に対応していると現行施策やシステムだけでは相談内容を解決できないこともたくさんある。相談者にあらわれた社会矛盾を解決するためには、現行の施策やシステムを改革しなければできないということや新たな施策やシステムを創らないと解決しないということも数多くある。このように具体的な人権相談を通じて人権実現のために必要な政策とはどのようなものかということが浮かび上がってくる。
つまり、人権の総合相談システムには、その本来の役割を通じて政策提言機能が必要になり、相談を通じて具体的な現実を把握していることによって、的確で強力な政策提言機関になり得る。
第七に、これらの人権相談システムから発せられた政策提言の多くは多民族共生の運動課題にもなるとともに、市民運動の糧になる。
第八に、個々の相談を解決していく営みは、人材育成にも繋がって行く。相談者は自身の問題を解決していくことを通じて、その経験が同様の問題で悩む新たな相談者のアドバイザーとして生きる。このように自身の問題克服への経験をいかしてカウンセリングすることをピアカウンセリングというが、人権相談システムはこのような機能をも持つことになる。それだけではなく、個々の相談を受ける人々も、その経験を通じて相談を受ける力量やそれらの相談内容を解決していく力量もアップすることになる。
第九に、このようにピアカウンセリングを担えるようにならなくても、個々の相談を解決していくことは相談者の自己実現を支援していることにもなっている。
最後に、立法事実を提示するするという重要な機能も持つ。立法事実とは、法律の必要性を根拠づける社会的、経済的な事実であるが、具体的な相談が集積され、それらの分析を通じて社会に政策発信をすることは、人権確立社会を実現していく上で大きな力になる。
多民族共生人権教育センター理事 北口 末広
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