多民族共生人権教育センター
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多民族共生の意味

 「言うは易く行いは難し」。多民族共生を考えるとき、この古の知恵が思い浮かぶ。それは、「共生」という概念が盛んに使われるようになったにもかかわらず、実際には文化・言葉・習慣などの違いを乗り越え、相手をありのままに受け入れて「共に生きる」ことが決して容易ではない、ということを意味している。
 2月8日参議院議員になってから、議員会館の私の事務所に多くのグループが陳情にやってくる。日本人との共生がうまくいかないと訴える在日外国人のグループもたくさんいる。私を拠り所に救いを求め、来られるようである。すべてのリクエストにすぐには応えられないが、私にできることはやる覚悟でいる。
 いくつか訪問客の背景を紹介したい。


◎ 群馬県大泉町に住む、ブラジルから移民してきた日系人の“代弁者たち”:

 町の人口のなんと14%が外国籍だそうだ。彼らの悩みは深刻そのものだった。現在日本にはブラジル国籍の人が25万人生活している。日本人の血が流れているとはいえやはり日本人ではない。言葉が通じないこともあって子供たちがいじめに会う。学校に行くことが億劫になり家に閉じこもる。犯罪も起こる。だから彼らを嫌っている日本人が増えている。1時間あまり話し合ったが、彼らの声をもっと聞くため、できれば4月にでも大泉町を訪れ状況を調査したいと約束した。

◎ 私の地元神奈川県からのEメール:
 米軍基地で勤務している軍人の奥さんが基地の外で働きたいが労働ビザがない。基地で働いている日本の一知人が“IDカードだけで働けるのか”を疑問に思い、連絡してきた。日米地域協定の下で基地外での就労は認められていることを、私も以前から知ってはいたが、念のため厚生労働省外国人雇用対策課の方を呼んで説明してもらった。答えは思ったとおりだった。しかし今回私が疑問に感じたのは、なぜ当たり前のことを相談してきたのだろうかという点だった。問題を提起したその日本人も、おそらく状況を知っていたのだろう。米軍の家族の多くが、ビザなしで基地の外で働くことはなにも秘密ではない。明らかにアメリカ軍人の家族は他の在日外国人に比べ、日本政府によって保護され優遇されている。おそらく、メールを送った日本人はその様な特別扱いに不満を感じているので、問い合わせの形で抗議してきたのだろう。そう推測しながらも、あたりまえの答えだけで返事を出してみた。すると、先方から次のような返事があった。

 「早速の対応と、連絡を戴きましてありがとうございました。米軍関係者に就労資格が有るとは知りませんでしたので驚きました。でも、沖縄での事件と対応を考えれば驚くに値しなかったのですね。独立国であるはずの日本の非独立国的な実態を知るにつけ、やりきれない思いが湧きあがってきます。今回の就労資格は日米安保から来る問題でした。地位協定については以前から課題になっていましたが、是非改善して欲しいものです。
 現在国籍による外国人差別は制度から来る問題だけではありません。英語が国際語で世界と言えばアメリカだという偏った考え方の罪は大きいと思います。様々な国・様々な文化・様々な人々を認め合える、差別のない国にしたいものです。ありがとうございました」。

 やはり、日本政府がアメリカをひいきしていることに対する私の意見を伺うことが本音のようであった。私も、日本が中立国に変わってほしいと願っており、いずれそのための行動を始めるつもりだ。

◎ 外国人である理由で温泉に入ることを断られた、北海道からやってきたアメリカ人:
 30分しか話を聞く時間がなかったので、私を冷たい人間だと受け止めたかもしれない。このような差別が日本には存在していることを以前から聞いていたが、実際にそれを体験した外国人に会ったのは初めてだ。日本が日本人だけの社会でないことを認めてもらうためには、何よりも先ず意識改革が不可欠であると思う。法律を厳しくすることだけで解決できる問題ではないと彼に説明してみたが、なかなか納得しなかった。最後に彼は、多くの外国人と付き合っているから今度は仲間も紹介したいと提案したが、現時点では多くの外国人に個別に会う時間がないと断らざるを得なかった。ただ、できれば私もその温泉に入ってみたいと言った。私も西洋人の顔だから入ることを断られるかもしれないが…。

◎ 龍谷大学の田中宏先生:
 昨年12月に大阪で会ったばかりだったが、私の新しい立場で再会できてうれしかった。議員会館で多文化共生をテーマにシンポジウムを開きたいという計画に参画を促された。4月10日を予定日に調整するところまで話しが進んだ。

 このような動きを予測したかのように、議員になってすぐ江田五月参議院議員から「在日外国人に係る諸問題に関するプロジェクトチーム(PT)」を民主党に設置しようとの提案があり、そのPTの事務局長を頼まれたので、すすんでお引受けすることにした。なぜなら、以前から国政で取り組みたい仕事の一つが「在日外国人と日本人との共生」だったからだ。江田さんの呼びかけは絶好のチャンスになると思った。今後とも皆様と共に多民族共生の実現に向けて頑張りたい。

参議院議員 ツルネン マルティ

 

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