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有事法制に想う 恐れていたことがいとも簡単に現実化し、有事関連三法案が衆議院を通過しました。アジアの国々を巻き込み、取り返しのつかない多大な犠牲を出したあの戦争で得た教訓は、たった50数年で忘れ去られてしまったのでしょうか。 マスメディアは国会の議論よりも白装束の某研究団体を面白おかしく扱う事のほうが大切であり、9.17以降の対朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)バッシングは、いまだ放送されない日はありません。「正義と解放」の名のもとにイラク攻撃は正当化され追随する日本は、アメリカを歓迎するイラク国民の一側面ばかりを報道していました。もはやマスメディアさえも、報道を規制する仕組みになってしまっているのでしょうか。 東西冷戦崩壊後、日米安保の変質が今回の有事法制化に繋がっていき、共和国の「拉致」問題がさらに法制化に拍車をかけました。「有事」とは戦争のことです。しかし、現憲法において戦争は憲法違反です。「戦争ができる国」にするために、ここ数年の間にいろいろな法案が国会を通過していきました。そのたびに私たち在日外国人、また海外の特にアジアの人々は危惧し、警戒の念を高めてきました。イラクへの攻撃には反対と手を挙げた人も、対北朝鮮となると「有事法制は必要」と思っています。共和国=悪、共和国=恐怖を毎日煽っているマスコミの効果は絶大であり、政府の思い通りにことは運んでいるといって過言ではないでしょう。金正日氏も、よくもここまで法制化実現に寄与してくれたものです。 また、保護者として看過できない教育基本法「改正」がやはり今国会で上程されようとしています。「戦争」を支持し、協力できる「国民」をつくるために教育の場に「愛国心」や「道徳」といったこころの内面にまで教育が入り込みコントロールしようという動きが、全国の学校現場で進行しています。具体的には文部科学省が配布した「心のノート」や、「愛国心」評価の通知表などです。日本に住む外国籍住民は約200万人。そのうち日本の小・中学校に通学している外国籍児童生徒にとって、「愛国心」や「郷土を愛する心」はどう評価されるのでしょうか。戦前と酷似したナショナリズムが、気付かぬうちに子どもたちに植え付けられ、「個」の人権などよりも「国家」優先の精神意識育成がじわじわと進んでいます。ここには、外国籍児童生徒に対する配慮や地域住民として生活している外国人に対しての意識が完全に欠落しているといえるでしょう。しかし、これらの意識はあからさまに差別という形で露呈されました。 先ごろ文部科学省は大学入試受験資格において、アジア系民族学校だけを排除し、欧米系のインターナショナルスクールにだけ認めるという暴挙にでました。しかし、これには多くの人々の強い抵抗、反対運動があり現在は保留状態にあります。ところが、その騒動の最中に同時に公布された、免税措置がとられる「特定公益増進法人」に欧米系のインターナショナルスクールだけが認可されてしまっているのです。 日本社会に外国人が増え、共に生きる社会づくりが推し進められている一方で、あからさまな外国人排除、それも特にアジア系外国人に対する差別が国家によってなされたことには、怒りを禁じ得ません。 もはや黙っているべきではないのです。人種や国籍に関係なく、一人の人間が一人の人間として尊重される真の共生社会を成し遂げるため、多民族が多方面から多角的に働きかけていく必要があるでしょう。 最後になりましたが、5月12日の多民族共生人権教育センター第4回総会において、李敬宰理事長の後を受け、理事長に就任いたしました。在日外国人にとって非常に厳しい状況が続いておりますが、すべての外国人の人権が保障され真の共生が実現されるべく微力ながら尽力してまいります。今後とも、力強いご支援ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。 多民族共生人権教育センター理事長 李 美葉 |