多民族共生人権教育センター
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オピニオン 「2004年をむかえて」

2004年をむかえて

 新年あけましておめでとうございます。
 旧年中は、多民族共生人権教育センターにご支援ご協力を賜りまして誠にありがとうございました。会員各位、関係機関のご協力の下、当センターもお陰様をもちまして、設立4年目となりました。
 昨年の事業といたしましては、年4回の啓発講座をはじめ、研究集会には、多彩な講師の方々をお招きし研修を深めることができました。また一泊研修と就職セミナーに関しましては規模も拡大し成功裏に終えることができました。そして、ご要望の声が上がっていました機関誌『メーレック』の発刊、啓発ビデオ『いまじん』の発売と着実に展開してまいりました。さらに、企業学習会においては、役員の方を始めとした皆様のご尽力の下、学習会やフィールドワーク、研修資料作成と活動も拡大してまいりました。今年は、昨年の事業を継承しながら、さらに内容充実に努めてまいりたいと思っております。

2003年の動向

 さて、戦争の世紀であった20世紀の反省から平和の世紀へと謳われた21世紀。しかし、この1年はイラク侵略の開始と日本のイラクへの自衛隊派兵で締めくくられた年でした。戦争は最大の人権侵害といわれています。大量破壊兵器が未だ発見されない中で多くの命が奪われました。戦争への大儀はどう正当化されるのでしょうか。また、原爆と似た効果を持つウラン弾が使用され、現在も、そして未来においても放射能汚染に苦しむ人民は膨大な数にのぼるでしょう。
 次に、東アジアの情勢に目を向けると、一昨年の朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)との首脳会談で発覚した拉致問題は未だに解決の糸口が見えません。加えて共和国における「核問題」が取り沙汰され六者協議が行われましたが、自国の利益のみを追い求める大国により引き続き協議を行うことのみが決定され、平和構築に向けて有意義な話し合いがもたれることは皆無でした。このような中で大学受験資格においてアジア系民族学校だけを排除した露骨な政府による民族差別が問題になりました。全国的な反対の声が上がる中で見直しがなされたのですが、朝鮮学園卒業者だけには、受験大学側の判断に委ねられるという、またもや露骨な差別が残される結果となっています。
 昨年11月には、在日コリアン5名が高齢者無年金問題について大阪地裁に提訴しました。歴史的経緯の中での旧植民地出身者への無年金問題、また外国人障害者無年金の問題等も民族差別問題です。高齢者や障害者の生活実態を見たとき、解決は急を要する問題です。

在日外国人の現状

 ニューカマーの外国人も、日本での生活が長くなるにつれ子どもの教育や進路問題、社会保障問題等、切実な課題が多岐にわたり顕在化しています。地域で生活する外国人が全国で増加しているという現状を踏まえ、自治体の首長が集い会議を開き、提言を行ってきました。また、「外国人との共生に関する基本法制研究会」が「多文化共生社会基本法」を発表し、研究会活動とともに提言を実践するべく活動を推し進められています。
 しかし、日本社会においては、マスコミが外国人による犯罪を誇張して報道し、政治家はレイシズムを前面に押し出した思想を臆面もなく発言しています。また、これらに対する人々の反応も消極的肯定と言えるものです。これらからもわかるように、日本社会には未だに「ともに生きる」ことへの知識、思想、そして何より意志が決定的に欠けているように思えます。

2004年の展望

 自治体の住民投票に関する条例では、外国人にも投票を認める自治体が増えています。この動きがさらに全国に広がり、外国人が地方参政権を獲得する未来もそう遠くはないという希望を持てるようになってきました。
 しかし一方で、イラクへの自衛隊派遣を行った小泉政権への支持率が一定の数値を維持しています。「北朝鮮バッシング」は衰えを見せていません。憲法「改正」への動きもますます力を強めています。このような流れが、異質なものの排除へつながる危険性をはらんでいると言っても過言ではないでしょう。今年はこれらに注意を払うとともに、日本社会をさらに人権を基軸とした多文化共生社会へ再構築するため尽力していきたい所存です。皆様のご支援、ご協力をあらためてお願い申し上げます。

多民族共生人権教育センター理事長 李美葉

 

 

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