多民族共生人権教育センター
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「オピニオン」 京都市外国籍市民施策懇話会の委員を終えて この地に共生社会の実現を

京都市外国籍市民施策懇話会の委員を終えて
〜この地に共生社会の実現を〜

 2001年5月より約3年間、京都市外国籍市民施策懇話会の委員を務めた。外国籍市民をめぐるさまざまな課題について話し合ったが、ひとくちに「外国籍市民」と言っても現実は多様である。
 外国籍市民のうち、1980年代以降急激に増えた新定住外国人を中心とする人々は、その多くが「特別在留」であったり、あるいはさまざまな理由で在留資格を持たなかったり、法的地位が不安定である場合が多い。それに対し、戦前すなわち植民地支配の時代から引き続いて日本に居住する(その子孫を含む)在日朝鮮人、在日韓国人は、在日の歴史が長く、「特別永住権」という一応過去の植民地支配の歴史に鑑みた居住権を付与されている。(私もそのひとりだ。)そこで両者の間には、福祉政策の中でさまざまな格差が生じてしまっている。もちろん、日本語能力の違い、民族団体の有無等の違いも大きい。

 京都市外国籍市民施策懇話会でも、たとえば教育問題では、新定住外国人にとってまず急務の課題は日本語を習得することであるのに対し、特別永住者にとっては薄れゆく民族の自覚をどう養うか、子ども達がどのようにアイデンティティを確立することができるかに主眼が置かれる。また、医療問題について考えるときは、多言語のパンフレットを作る、病院に通訳を派遣するなど、新定住外国人に必要なことが中心になるのに対し、高齢者問題や無年金状態におかれている外国籍市民の問題と言うと、その対象はほとんどが特別永住者となる。この両者の問題はまったく違う問題で、分けて考えるべきではないかという人もいるぐらいだ。
 しかし私はこれを切り離してしまってはいけないと思っている。私たち在日朝鮮人に遅ればせながらもそれなりに市民権が与えられ、改善されているのなら、それを芋蔓式に新定住外国人の人権の問題へ引っ張って行かなければならない。私たちの問題が少しずつ理解されるようになっているのであれば、新定住外国人の人権を考えるときの先例として役立ててほしいのだ。

 私たちの歴史はある意味分かりやすい。植民地支配の結果日本に渡ってきたのだから、居住権、市民権が日本人と同等に与えられるのは当然だ。では、最近になって日本にやってきた外国人は・・・・現代の日本は世界中に出かけて行って経済活動(つまりは金儲け)をしている。ならばその反面として、いろいろな国から出稼ぎ労働者がやって来るのは当然のことだ。かつて、私たちの祖父母が植民地支配を受けて国で生活できなくなり日本に来たことと、今南北格差が問題となっている世界で、多くの外国人が職を求めて先進国日本へ来ることとは、私にはオーバーラップして見える。
 実際、新定住外国人の苦しい現状について知るにつれ、私は祖父母や両親の世代が経験した苦労を思わずにはいられない。日本語の読み書きもままならない在日朝鮮人1世が、あらゆる場面で遭遇した困難と孤独、蔑視と偏見、2世との間に生じた断絶、身を粉にして働いても差別と排除に苦しんだ歴史・・・・同じことが新定住外国人に繰り返されてはいけない、それは1世の苦労を無駄にすることではないだろうか。

 在留資格を持たない外国人の問題もそうだ。私が子どもだった頃、身近に「密航」「密入国」などの言葉を聞いた。ある人は韓国に強制送還され、ある人は大村収容所に送られて数年ののちやっと在留を認められた。ある人はまた当局から逃れるために各地を転々としていた。恋人同士や肉親が引き裂かれる悲劇を何度も見た。それは「不法」と切り捨てるべきことだったのか。むしろ彼らは「難民」だったのではないのか。
 新定住外国人が今置かれている困難な状況は、ある部分、確かに在日朝鮮人、在日韓国人が経験してきたことだ。私たちは立場を越えてつながりあいたい。特別永住者は日本人並みの権利を得ることに急いで、新定住外国人の存在を忘れてはいけないと思う。
 地方参政権の問題も、だから帰化要件の緩和で終わらせてはならない。それは、新定住外国人と特別永住者とを分断するものだ。

 日本には、多様な外国人を受け入れた上でどんな国を創っていくのか、真剣に考える責任がある。そして私たち自身も、ゆめ異質なものを排除する側に立つことのないよう、自分達の異質性を大切にしつつお互いを尊重していきたい。この地に共生社会を実現していくことは、この地に暮らす誰もに共通の課題であるはずだ。

京都・メアリ会(在日朝鮮人保護者の会)代表
京都市外国籍市民施策懇話会委員(2004年3月まで)
康玲子(カン ヨンジャ)

 

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