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異質との共生と企業人権
昨年私事で参加できなかった「多民族共生人権リーダー合宿研修(9月16、17日彦根市にて開催)」に出席する機会を得た。少子化傾向が進む中、多民族共生に変えていかざるを得ない日本社会にあって、それに対応するための企業の方向性や体質の改善を模索確認することがこの研修の主たるテーマであったと私は考えている。100名を越える企業・行政の担当者が終始真剣な態度で考え、議論した2日間の意義は大きかったと実感している。このように多民族共生人権研究センターが年間取り組み行事として、その他に人権研究集会や就職ガイダンス等がある。これらの行事が回を重ねる過程においてその存在が徐々に社会に認知され、定着しつつあることを今肌で感じてもいる。去る7月16日に開催された第4回多民族共生人権研究集会に参加しつつ第1回研究集会(2001年11月)を思い出していた。
当センターが設立され、1年、初回開催として十分な準備時間があったとは思えない。当時は支援団体や協力者および企業学習会など未だ基盤が弱く、実行サイドは不安と暗中模索の中で、とにかく実績をつくることに焦点を当て開催されたというイメージをもっている。それから回を重ね今年が4回目、タイムリーなテーマ設定や良き講師、パネリストの人材を得、かつ1,000名をこす参加者と併せ成功した集会であったことが印象づけられる。ただこの成果を一面的に見ることなく、支援団体や協力者および会員に真の共感を得ていくことと、幅広い地域や企業の参加の働きかけ、現状参加者の半ば強制(?)から自主参加をうながす取り組み等当センターの責務としての姿勢如何にかかっているのではないだろうか。肝に命じたいものである。
さて私は、企業出身ということもあり、第3分科会「多民族・多文化共生と企業」に参加し、聴講していたが、途中、他分科会の様子もみたくなって、短時間であったが参加してみた。参加人数の違いこそあれ、どの分科会も熱心に聞き、活発な議論が展開されており、この研究集会の深まりを感じさせられた。さて第3分科会、「異質の混入が企業利益のマイナス」としての企業体質が過去いくたびかの差別事件を引き起こしてきた。その体質が今も異質(外国人)排除の社会システムと諸制度の中に生き残っていることを痛感する。過日永住権者以外の外国人を対象から排除する金融商品およびその手続上においても企業の差別性が指摘された事件が発覚している。また多くの企業が雇用面において半ば公然として留学生の門戸を閉ざしており、昨年11月に行われた就職ガイダンスの席で泣いて訴える韓国留学生の姿も見た。今、日本社会の構造、企業の体質が改めて問われていることを自覚しなければならない。第3分科会のパネラーとして登場した2人の在日コリアン3世のさわやかで自信に満ちた態度が今も私の頭に鮮明に残っている。本名で生き、本名で就職し、異質性を主張しつつ企業の中で輝いている。このように異質を異質として理解し認め合える、共生の職場づくりをめざしている企業も数多く出現してきている。企業自身の努力を含め未来への明るい展望も見えてきている。私が所属していた会社も在日コリアンへの差別事件を経験したことにより「共生(働)の中にこそ真の企業啓発がある」としての観点から在日コリアンの積極採用に踏み切った経緯がある。パネラーの一人が「企業が異質を理解する学習から実践の段階に移行しなければならない」と…同感である。今までになく企業が変わろうとしている。その過程で差別事件も起こり得るだろう。その時にこそ真正面から真摯に対峙していく中で、企業は着実に変革していくと思う。そう信じたい。
多様性を活かし発展し続ける企業イメージを経営の中に投影していきたいものだ。
これからの日本社会に移民、移住者が急増すると予測されている。これらの人々を労働力と捉えるのではなく「人間」として接していくことの重要性は申すまでもない。最近アナン国連事務総長が移民問題について欧州社会に以下の提言をしている。「欧州社会がこの問題に立ち上がるなら移民が社会を豊かにするだろう。そうでなければ生活水準の低下をきたし社会の分裂につながるかもしれない。国家・国民が合法的な移住のための道筋を示すべきであり、移民の基本的人権を尊重しながら恩恵を活かす努力をすべきである。そうすることによって移民は経済成長の原動力となり社会のダイナミズムの担い手となる。彼らは自らのアイデンティティを維持しながら社会にとけこみたいと願っている。移民は解決の一部であって、問題の一部でないのだ」
この提言をこれからの日本社会に置き換えて考えてみたいものだ。
| 多民族共生人権教育センター 特別役員(企業担当) |
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| 多民族共生人権教育センター 企業学習会 相談役 |
金子 則夫 |
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