多民族共生人権教育センター
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オピニオン「企業学習会会長退任にあたり」

企業学習会会長退任にあたり

 2005年5月11日に行われた企業学習会総会を持ちまして、無事役割を終え、新光証券の酒井氏へ引継をいたしました。企業学習会の立ち上げは勿論ですが、それ以前から在日外国人問題を学習する企業グループに関わっていましたので、それぞれの場面を思い出しながら、少々感傷に耽っています。
 企業学習会も5年目に入り、徐々にスケジュールを順調に消化できるようになってきたのではないかと感じています。ただ、方向性については、まだまだ試行錯誤の繰り返くのではないでしょうか。
 企業活動においては、グローバル化の流れの中、外国に生産や販売の拠点をおく企業が大半を占めるようになりました。また、国内に於いては深刻な少子高齢化の現象が進み、外国人労働者問題が注目されるような時代になってきています。こういった中で、企業として社会的責任を果たすためには、必然的に外国人の人権を考え重視していかねばならなくなっています。

 外国人の人権問題、とりわけ在日外国人問題には大きな2つの柱があります。戦前の旧植民地から続く在日韓国・朝鮮人問題と、近年急速に増え始めた新渡日の外国人問題です。確かに、現在表面に現われている現象は、相当異なって見えます。そのため、無意識的に2つの問題を別々に考えてしまいがちになります。私たちも、当初は別の問題として取り扱ってきました。
 企業学習会として、重点的に取り組んできたイベントとして就職ガイダンスがあります。企業の大きな責務のひとつは雇用問題です。そのため「私たちは、就職差別をしません」と宣言することで、在日外国人学生に対し、勇気を与える重要な機会を作ってきました。当初は一部企業だけだったのを、企業学習会全体として取り組む仕組みを作りましたが、これは在日韓国・朝鮮人学生に向けてであり、外国人留学生は別に扱うこととなっていました。しかし、実際に留学生と話し、よくよく考えてみると、就労ビザという法律問題が横たわっているにせよ、就職を希望する学生であることは間違いなく、日本人と同じ土俵で採否を判定すべきではないかとの思いに至りました。また、企業学習会として一昨年から今年にかけて、外国人カードローン差別問題に取り組みました。問題の本質に迫って行くにつれ、外国人定住者が置かれている状態が、ひところの在日韓国・朝鮮人が置かれていた状況にそっくりなことが分かってきました。

 以上のように、企業学習会を運営していく上で在日外国人人権問題を2つに分けて考えて行くことは、間違いであると気付くことができました。また、在日外国人問題に関わってきてつくづく感じたのは、他の人権問題以上に知識が重要だということです。戦前戦後の日本の歴史を正しく理解しないと、在日韓国・朝鮮人問題は見えてきません。また、外国人と日本人で現行法上の取り扱いがどう違うのか、それが外国人にとってどういった不便さを与えているかを知っていなければ現状を語ることはできません。一方では、当然のことながら、人権感覚を磨きマイノリティの立場からの視点を身につけていかなければなりません。
 一般的に言えば、一応在日韓国・朝鮮人に関する人権啓発素材は整っていますが、これに新渡日を含めた素材や方法論は、まだまだ端緒についたばかりであるといった状況でしょう。こういった意味でも企業の在日外国人人権問題の啓発を支援していく企業学習会の役割は、ますます重要になっており、これからの発展を期待しています。

 私自身、企業学習会の会長の役は降りますし、秋には会社生活ともお別れすることになっています。しかし、この活動を通じて、外国にルーツを持つ子どもたちを支援する活動に関わるようになりました。ひとりひとりの子どもたちは、それぞれ色んな問題を抱えています。それは、まさに啓発セミナーやフィールドワークで感じた問題が現実に、それぞれの子どもたちに降りかかっている現状があります。これからも子どもたちと一緒に悩み、考えて行きたいと思っていますので、よろしくお力添えをお願いいたします。

グンゼ株式会社 野崎 勝彦

 

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