多民族共生人権教育センター
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オピニオン 多文化な子どもたちと私たちをつなぐ連続セミナー 〜学習支援教室を運営する中で見えてくるもの〜

多文化な子どもたちと私たちをつなぐ連続セミナー
〜学習支援教室を運営する中で見えてくるもの〜

子どもたちの抱えているもの

 

夏休み学習支援教室の様子
夏休み学習支援教室の様子

 昨年7月より活動を開始した「多民族・多文化ともだち広場」同様、今回の学習支援教室開始にあたっても一番の課題となっているのは、どのようにして子どもたちにこういった場があることを知らせ、来てもらうかということです。現在は、インターネットでの広報、センター校の先生方の連絡会で案内を流していただく等の方法をとっています。しかし、ただ知らせるだけでは子どもたちはなかなか集まってくれません。日本の子どもたちのように自分で地図を見て電車に乗って行ってみるというわけにはいかないのです。
 このような状況になっている理由の1つは、言葉があまり分からない、案内表示が充分に理解できないなどの理由から、知らないところに出かけていくことに大きな不安を抱くということです。「多民族・多文化ともだち広場」に来てくれている子どもたちも、高校生は1回来て場所が分かると、その後は自分たちで来ることができますが、中学生の場合は、何回か保護者やセンター校の先生と通ってきて慣れなければ自分でくることは難しい状況です。

坪内好子氏
坪内好子氏

 もう1つは、経済的に厳しい家庭の子が多いということです。高校生になるとほとんどの子がアルバイトをしています。自分のお小遣いをためるだけでなく、家計を支えている子もいます。そのため、休日は特に勉強よりもアルバイトが優先されるのです。また、交通費の支払いが難しく、定期的に通うことが難しい子もいます。勉強する意欲のある子が毎回学習支援教室に来たいと考えたとしても、休日にバイトを休んで交通費を払って学習教室に通うということは、収入を減らし支出を増やすことになります。結果として経済的な圧迫を生み、継続した学習指導が行えなくなってしまうのです。また、経済的に厳しい家庭の子は将来の展望を持ちにくい傾向があります。「いくらがんばってもどうせ大学にはいけないし・・・」という思いもあり、将来の夢や目標が持ちにくいのです。そのため、「学習」に対する意欲もなくなり、勉強についていけないために学校に行かなくなり生活が荒れていくという悪循環になってしまいます。こういった子どもたちに「学習」することの意味や、将来の展望を見出してもらえるようにすることがこの学習支援教室の大きな課題であり、目標の1つであると考えています。

1歩ずつ・・・

藤原孝章氏
藤原孝章氏

 多様なニーズと生活上の不安を抱える彼らに対応していくためには、時間をかけて少しずつお互いを理解し、信頼関係を築いていくしかありません。
 その第一歩として、9月10日(土)に阿倍野中学校の教室を借りて、子どもたちとボランティアとの交流会を行うことにしました。これまでの「多民族・多文化ともだち広場」でも、時間通りに会を始められたことは少なく、子どもと連れてきてくださる先生がうまく会えないことが度々ありました。「待ち合わせ」がうまくできないのです。そういった子がたくさんいると、先生にだけ引率をお願いするということは不可能になります。そこで、1人で行き来することができる阿倍野中学校を借りてボランティアと仲良くなってもらい、先生以外の人が引率できるようにすることから始めることになりました。この交流会も1回では無理ですし、子どもだけでなく保護者にも理解をしてもらわなければ成り立ちません。焦らずにゆっくりと、子どもたちと一緒に進んで行きたいと思います。

どうにもできない壁・・・

岩山仁氏
岩山仁氏

 私たちではどうにもできない問題もあります。在留資格の問題です。在留資格の問題については観光ビザで入国しているため3ヶ月ごとに出国しながら生活をしている子や、オーバーステイであることを分かっていて不安な思いを抱えながら生活している子もいます。こういった状況では、将来の展望を考えることは難しくなります。中には、学生であるということが考慮されて、子どもだけが日本に残り、保護者は強制送還されてしまったということもあります。いろいろな問題はあるにせよ、法律に則った処遇であるため、力及ばず歯がゆい思いをすることもしばしばです。しかし、解決に向け多くの人たちと協力し、出会った子どもたちが抱える不安を共有できる場でありたいと思います。

李美葉氏
李美葉氏

 子どもたちが抱える多くの問題は、日本社会が抱える「在日コリアンをはじめ、近年増加する外国人と共生するためにはどうするべきか」という大きな問題に起因します。特にニューカマーの子どもたちの親の多くは、職を求めて来日したものの、在日外国人に対する差別体質が根深く残る厳しい現実の中でお金を稼ぎ、必死で子どもを育てています。親自身が差別を受け、食べていくために働くことで精一杯です。その反面、学生が不足する大学は留学生を徴集し、その留学生が日本での雇用を求めるようになっています。またFTA(自由貿易協定)などで、ある特定の資格や技術を持つ外国人に対して在留許可の緩和を行うなど、不足する労働力を補うために外国人を入りやすくするということが国策として行われようとしています。すでに外国人が集住している愛知県や岐阜県の地域では、共生ではなく住み分けが進んでいます。共生するより住み分けをしたほうが、お互いに接触しなくなるため表面上はトラブルも少なく楽になります。しかし、住み分けをしたのではお互いに理解することはできません。
 共生するということは、決して美しいものではなく、お互いの考えや価値観をぶつけ合い、譲り合いながら作り上げていくものです。これから私たちは、子どもたちと正面から向き合うことでいろいろなことにぶつかり、時には価値観の相違を感じることもあるかもしれません。しかし、そこから逃げることなくお互いを理解し合える関係作りをしていきたいと思います。

講座を受けるボランティアの方たち
講座を受けるボランティアの方たち

 これから学習支援教室の活動が広がっていくにつれて、協力していただくボランティアのあり方も多様性が出てくると思います。送迎の引率なら協力できるという人、勉強を教えることはできないけどレクリエーションの企画は得意だという人など、できるだけ多くの人に関わっていただく機会を作ろうと考えています。是非、直接子どもたちと話す機会を作っていただきたいと思います。また、ボランティアに限らず、多方面でのご協力をよろしくお願い申し上げます。

事務局 森

 

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