多民族共生人権教育センター
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オピニオン 2007年を迎えて

2007年を迎えて

新年明けましておめでとうございます。
当センターは昨年12月、設立満6周年を無事に迎える事ができました。これもひとえに会員の皆様方、関係者の皆様のご支援ご協力の賜物と心より感謝申し上げます。

おかげをもちまして、今年度の事業も残すところわずかとなりましたが、ほぼ滞りなく終えようとしています。昨年も企業学習会の皆様方には多くのご協力をいただき御礼を申し上げます。

事業の中でも7月に開催いたしました「研究集会」の井筒和幸監督による記念講演には、例年にないほど多くの方からご好評が寄せられ、当センターといたしましても嬉しいかぎりです。年間事業も多くの方に知っていただき、外国人に関する活動に携わる方の個人的な参加なども増えてきており、嬉しい傾向です。また4月から、それまで外国人学生を対象としていた「就職ガイダンス」をより発展させた、在日外国人全般の働く悩み・職場でのトラブルに関する相談窓口「仕事なんでも電話相談」を開設し、7月からは企業の皆様にも相談窓口にご協力いただきました。今後は、この電話相談事業を一層充実させていくと共に、就労のための支援事業にも取組んでいきたいと考えております。

さて、この10年間で46%の増加となった外国人登録者数は、2005年末に200万人を超えました。多民族社会が日常化し、生起する問題・課題は後を絶ちません。1980年代後半からの「国際交流」「国際協力」を柱とする地域国際化推進から、より地域対応、個別課題対応化した多文化共生社会構築に向けてのプログラムが、政府として初めて総務省によって提言されました。やっとといった感も拭えませんが、多くの外国人に関わってきた人たちや先進的に取り組んできた自治体の取り組みがモデルとして報告されていることは高く評価したいと思います。

一方昨年は、在日外国人犯罪者の増加を口実に管理統制を強化しようという動きが多く見られました。5月17日にはマスコミや国民、市民レベルでの十分な論議もされないまま「改正出入国管理法」が成立してしまいました。目的はテロの未然防止ということですが、日本に入国する外国人に指紋や顔写真の提供を義務づけるものです。これにより、これからは年間700万人もの外国人から指紋を採取することになります。米・英とは状況が違う中で、単純に両国に追随するだけでは外国人の人権尊重や共生と逆行することに他なりません。また、外国人登録情報を法務省入国管理局が一元管理しようという政府原案が出されています。特別永住者など一部を除く在日外国人に、IC登録による「在留カード」が発行され、またもや携帯義務化も提案されています。入国から日本国内での生活まで細かく管理されてしまうのは、ICタグをつけられ始終追跡されている動物を連想してしまうのは私だけでしょうか。

併せて、朝鮮民主主義人民共和国とのあいだでの問題が何一つ解決せず、「朝鮮籍」者に対する締め付けが一段と強化されているという事実です。「朝鮮籍」が「北朝鮮籍」でないことは政府が一番知っていることです。にもかかわらず、嫌がらせのような制限を加えることで、どうしてこの問題が解決できるでしょうか。

昨年は当センターで支援していた2つの裁判の判決が出されました。
1つ目はアフリカ系アメリカ人の入店拒否裁判が、1月に敗訴し10月の控訴審で一部勝訴の判決を得ました。言った・言わないのやり取りは差別だと認定する状況証拠にはなりえず、泣き寝入りを強いられている外国人は跡を絶ちません。一日も早い「差別禁止法」の制定が望まれますが、国連の勧告をも無視するこの国の状況では、より多くの力の結集が必要です。現在、全国規模でネットワーク立ち上げの動きが始まり、当センターも参加しています。

一方、「旧植民地出身高齢者無年金裁判」大阪高裁判決が11月に原告側敗訴という結果で出されました。即刻上告の手続きがとられましたが、最高裁判決を待つ長い時間は、80歳を越す高齢者にとってむごいもの以外の何ものでもないでしょう。日本政府の英断を期待するだけです。

その他、外国人登録証明書の提示問題や生活全般・福祉・教育と広範囲な相談が電話やインターネットでも寄せられています。外国人がこの国で生きていくためには、多くの人々の協力と努力が必要です。今年も人や組織との連携を深め、多くの課題に取り組みたいと思っております。

ややもすると「人権」がどこかに消えてしまいそうな危機的状況の日本のなかで、真っ向から立ち向っていく勇気が試されていると思えるのです。スタッフ一同邁進してまいります。本年もどうぞよろしくご支援ご協力をお願い致します。

                 多民族共生人権教育センター 理事長  李美葉

 

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